2019年7月19日(金)

尾張工業用水、7割が耐震未実施 中経連が対策提言
南海トラフ地震の被害縮小

中部
2019/5/17 20:00
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中部経済連合会は17日、南海トラフ地震の被害の縮小に向けた、社会インフラの現状と課題に関する提言をまとめた。愛知県をモデルケースにインフラの耐震度合いを調べ、一宮市などにある尾張工業用水道の配水管の7割で耐震工事が未実施であるなど、対応の遅れが浮き彫りになった。

南海トラフ地震は駿河湾から日向灘沖を震源とする巨大地震で、100~150年周期で発生してきた。前回の発生(1944~46年)から70年以上経過しているが、地震発生に備えてインフラを網羅的に調べた提言書はこれまでなかった。

中経連の豊田鐵郎会長は記者会見で「工業用水などの耐震化への関心は電気やガスに比べ低かったが、生活への影響は大きい。国に必要性を訴えていきたい」と述べた。

工業用水では尾張工業用水道のほか、愛知用水工業用水道(名古屋市など)、西三河工業用水道(岡崎市など)の配水管が液状化の危険性のある地域にある。尾張工業用水道は耐震性の高い配水管への切り替えが全体の3割にとどまっていた。

愛知に集積する製造業の多くは生産工程で水を大量に使う。火力発電所を動かす際も水は欠かせない。中経連の栗原大介常務理事は「工業用水は産業の血液だが、予算などの制約で耐震工事が遅れている」と指摘する。

国土交通省などは地震発生時の輸送路の確保に向けて、優先的に復旧させる幹線道路を「くしの歯」ルートとして定めている。田原市周辺では同ルートの38カ所で震災で橋梁に段差が生じ、緊急車両の走行の妨げになる可能性があるという。

木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)の河口では、耐震工事が必要な区間のうち、約半分が未実施だった。国際拠点港湾の名古屋港や四日市港でも耐震強化壁の整備が進んでいる。

南海トラフ地震は東は神奈川県から西は九州まで、広範囲の被災が予想される。過去の大震災と比べて他の地域からの支援が期待しにくく、復旧までの期間が長期化する可能性があるという。

土木学会の試算では、南海トラフ地震の損害額は20年間で1400兆円を超える。一方、地震に備えてインフラの耐震化を事前に進めれば、被害額を最大6割減らせるとの試算も土木学会は出している。(湯浅兼輔)

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