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定常化する世界の巨額流動性(大機小機)

2019/5/17 21:01
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世界では、巨額流動性が放置され定常化している。去る3月、欧州中央銀行(ECB)および米連邦準備理事会(FRB)が、2019年中の利上げと保有資産削減の双方を中止した。日銀は年間の流動性供給額を削減しているが、量的・質的緩和政策の下で依然として流動性を供給し続けている。この結果、金利機能がほぼ消滅した状況が世界的にさらに継続されることとなった。

こうした状況を踏まえインフレを憂慮する見解もみられる。だが、ベースマネーと貨幣ストックの関係を示す貨幣乗数や、貨幣ストックと国内総生産(GDP)の関係を示す流通速度の双方が不安定化し、GDPギャップと物価、賃金の関係を示すフィリップス・カーブはフラット化、低下している。そのため世界に現存する流動性が即座にインフレを引き起こす可能性は高くないようだ。

ただし、これまでのバブルの経験では巨額流動性の影響は大きい。バブルは期待収益率が高いとみられる特定の金融商品や分野などに融資や需要が集中する場合に生じている。現時点で観察される価格上昇はグローバルでは途上国の債券、日本では土地など不動産などにとどまっている。

巨額流動性が常態化する下で、特定商品や分野へのマネー集中を防ぐ具体的方策は、民間金融機関・企業による当該分野への過度な融資や投資を抑制することだ。この点で、かつての総量規制のような法的措置は機動性に欠ける。国民経済の健全な発展のためには、当局と民間金融機関、民間金融機関と企業、家計との密接な対話による民間部門の慎重な行動が不可欠だ。

そうした各主体の慎重な行動をもたらす方策は、国内では銀行監督の強化や民間金融機関自身による審査部門の充実だ。グローバルには特定分野への集中を国際的に監視するためのバーゼル銀行監督委員会の機能拡充や、国際通貨基金(IMF)によるコンサルテーションを通じた監視機能の強化、サーベイランス(政策監視)リポートによる警告などが有効だ。6~8月の20カ国・地域(G20)や、主要7カ国(G7)首脳会議などでこの点の警告発出が期待される。

世界や各国経済の健全な発展のために、再び規制を強化する時代が来たようだ。(恵海)

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