2019年6月27日(木)

山あいにシェアオフィス オフィスキャンプ東吉野
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関西
2019/5/20 7:00
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古民家や清流 心地よく

清流に沿った山深い旧街道に、デザイナーらが黙々と、時に雑談を交わしながらそれぞれの作業を進める場所がある。奈良県東吉野村の村営コワーキングスペース「オフィスキャンプ東吉野」だ。Wi-Fi(ワイファイ)とコーヒーがあれば仕事はどこでもできる。そんな「啓発の場」が広がりをみせてきた。

築70年の民家を改修した「オフィスキャンプ東吉野」(奈良県東吉野村)

築70年の民家を改修した「オフィスキャンプ東吉野」(奈良県東吉野村)

大阪市内から車で1時間半、バスの本数は少ないが公共交通でも2時間ちょっと。将来、深刻な人口減が予測されるものの「実はほどよく都会に近い」(総務企画課)という同村で、築70年の民家を改修してオフィスがオープンしたのは4年前。これまでに累計約6千人が訪れた。

利用料は1人1日500円。4月の晴れた日の午後、無垢(むく)材を天板にあしらった大きなテーブルを囲んで、デザイナーや編集者ら4人がパソコンを開いて仕事に打ち込んでいた。構想段階から携わり、運営を請け負う坂本大祐さん(43)によると、息抜きに青く澄んだ「下の川」に降りて、釣りやキャンプをする人もいるという。

坂本さん自身もデザイナー。一般企業で建築デザインを手掛けた後、フリーとなるが、オーバーワークがたたり腎臓病を罹患(りかん)してしまう。13年前、移住していた親元にいったん戻る形で堺市から同村へ来て、徐々に仕事を再開した。

オフィスは坂本さんのような移住者が定住につながるサービスを、と始まった。村がターゲットとしたのは自分で仕事が完結する「クリエーター」系の人ら。実際にここで手応えを感じ、これまでに13世帯26人が東京などから移住を決めた。坂本さんをはじめ利用者らで合同会社「オフィスキャンプ」も起業、自治体や企業から企画やデザインの仕事を法人として受ける仕組みもできあがった。

「打ち合わせと称して、出向いてくるクライアントも多い」(坂本さん)。新規事業を立ち上げるため少人数の研修の場として使う企業、職場の喧騒(けんそう)から"雲隠れ"する経営者。クリエーター以外の利用も広がっている。

県奥大和移住・交流推進室は同村など5町村と連携、国のモデル事業も活用して小さなシェアオフィスを整備し、企業の出先機関の誘致を狙う。心地よい場所を選んで働けるようになる日はそう遠くないかもしれない。

(岡田直子)

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