2019年6月27日(木)

「学び」求めた半世紀 関西夜間中学の歩み本に

関西
2019/5/17 9:57
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戦争や貧困で義務教育を受けられなかったり、満足に勉強ができなかったりした人たちが通う夜間中学の関西での歩みを記した「生きる 闘う 学ぶ 関西夜間中学運動50年」(解放出版社)が刊行された。卒業生や元教諭、支援者ら約60人が執筆や編集などで携わり、社会で生きていくための学びを追求した半世紀を振り返っている。

夜間中学での思い出を話す大西良子さん(大阪市)=共同

文部科学省によると、公立夜間中学は4月に千葉県松戸市と埼玉県川口市で開校した2校を含めて9都府県に現在33校あり、このうち関西に設置されているのは18校。

本に登場する大阪市東住吉区の大西良子さん(68)は、脳性まひの障害がある。小学校は就学免除となり、学校に通ったことはなかった。両親が亡くなった後、48歳で介助を受けながら一人暮らしを始め、大阪市天王寺区の夜間中学に52歳で入学。平仮名から学び、卒業まで9年間、入院中も休まず病院から通った。

覚えた文字を使い、夜間中学に障害がある人が使えるスロープや特別支援学級の設置を求める文書を大阪市に提出したことも。「社会に訴えられるようになった。自分に自信が持てるようになった」と大西さん。夜間中学は「ぬくもりのある居場所。命のような所だった」と笑顔を見せた。

大阪府守口市の夜間中学の元教諭、白井善吾さん(72)=同府吹田市=は「生徒は学校に行けなかった悔しさだけでなく、親への恨みを抱えている場合もある」と話す。在日コリアンの生徒が歴史を学び、故郷を離れざるを得なかった親の胸中を理解し自己肯定につながったこともあったという。

「教師が生徒と一緒に学び考える。そんな学校であってほしい」。生徒の生きざまを土台に教育を組み立て、それぞれの問題解決につなげる役割が夜間中学にあると白井さんは感じている。〔共同〕

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