2019年5月21日(火)

福島県、駅前活性化もくろみ外れる 郊外出店の規制緩和

小売り・外食
北海道・東北
2019/5/16 20:00
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福島県が10年以上続けてきた大型商業施設の郊外での出店規制を緩和する。全国的にみても厳しい内容で注目を集めたものの、商業施設の集積で活性化を狙った駅前など中心市街地の衰退は止まらず、当初のもくろみは外れた。他県に流出した買い物需要の回復に向けて、施策の変更を余儀なくされた格好だ。

福島県いわき市の小名浜港に臨むイオンモールいわき小名浜では2018年6月の開業以来、週末は家族連れが店内にあふれフードコートは長蛇の列ができる。「県外からも人が集まる市内屈指の集客スポットになった」(いわき市)。

店舗面積は3万平方メートル超で県の基準の6千平方メートルを大きく上回り、本来は出店できないはずだった。しかし震災復興を急ぐいわき市は、貨物駅と引き込み線の広がる一帯の用途を準工業地域から商業地域に変える異例の手法で立地を実現した。

福島県が06年に施行した商業まちづくり条例は大型店が出店できる場所を、駅前や商店街などに多く設定される商業地域と近接商業地域に限っている。今回の規制緩和では、郊外の幹線道路沿いや工場跡地に多く設定されている準工業地域を今秋をメドに追加する。

市町村が定める立地条件に合えば、準工業地域への大型商業施設の出店が可能になる見通しだ。

条例は中心市街地への商業施設の集積を目指した。しかし1998年、福島駅前に出店した百貨店の中合・福島店2番館は売上高の低迷に建物の補修問題が重なり、17年に閉店した。

そこから徒歩数分の区画整理地に福島市が計画した商業ビルも採算の見通しが立たず18年に建設を断念した。

一方、郊外への出店が規制されたため、大型商業施設(同6千平方メートル以上)の福島県内の開業は12年以降、2店にとどまる。県境で接する宮城県には12店、茨城県は19店開業し、マイカーによる買い物客の流出が加速した。

県が実施した県民アンケートによると、商業施設の新設希望の1位はショッピングセンター、2位がアウトレットモールで、中心市街地の大型店は6位、同じく商店・商店街は11位だった。

行政も手詰まり感が強い。郡山市の場合、再開発などに長年予算を投じ続けたものの、郡山駅から1キロ以内の地域から市に入る税収の比率は15年間で4ポイント低下し、16年度は12%にとどまった。

条例ができた背景には商店街など小規模業者からの強い要請があった。さらに「郊外には緑が広がり、建物は中心部にまとまったヨーロッパの様な街並みをつくりたいとの考えがあった」(当時の知事室関係者)という。しかし歴史的な背景、消費者のニーズからみて欧州との違いは大きかったようだ。

(郡山支局長 村田和彦)

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