ソニー、2000億円の自社株買い 株価低迷に対応

2019/5/16 20:30
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ソニーは16日、2000億円の自社株取得枠を設定すると発表した。株主還元の自社株買いは2月に発表して以来、2回目で、金額は前回の2倍とした。ゲーム事業の好調で2019年3月期までに営業利益は2期連続で最高を記録したが、次の成長分野が見えず、株価は昨年から低迷気味だ。矢継ぎ早の自社株買いには、市場の低評価を覆したいという会社の意志がにじむ。

買い付けの上限は発行済み株式(自己株式を除く)の4.8%にあたる6000万株。5月17日から20年3月31日までに買い付ける見通し。同社は狙いを「戦略的な投資機会や財務状況、株価状況等を勘案した上で、機動的に自己株式取得を実施することを可能にするため」としている。

自社株買いの背景は株価低迷だ。ソニー株は18年9月の高値6973円を2割強下回っており、この間に1割強下落した日経平均株価より下げがきつい。市場では自社株買いは「会社がより高い株価を期待しているというメッセージ」(松井証券の窪田朋一郎氏)と見られている。

株価低迷は成長鈍化への懸念を映したものだ。ゲーム事業の主力である「プレイステーション4」は13年の発売から時がたち、勢いは落ちている。今期の販売台数は17年3月期のピークから2割減る見込み。スマートフォン市場の減速で半導体事業のリスクも高まり、映画も競争が厳しい。

20年3月期の営業利益は前期比9%減、純利益は45%減となる見通し。前期にあった法人税減額などの特殊要因がなくなることもあり、自己資本利益率(ROE)も13%と前期の27%から大きく下がる。

一方で手元の現金は積み上がっている。金融事業を除くソニーの現預金は19年3月末に約9600億円とこの2年で約2700億円増えた。テレビなどエレクトロニクス部門の収益が改善し、ゲーム事業などの安定した稼ぎを蓄積できるようになった結果だが、「たまった現金をどう使うかが経営課題の一つ」(外資系機関投資家)にもなっていた。

立て続けの自社株買いは、資本効率への意識の高まりと同時に、一段の利益成長が見込める分野を探しあぐねているソニーの現実を浮き彫りにしている。市場でのソニー株の位置づけは、成長期待が株価上昇を支える「グロース株」から、株主還元や投資指標でみた割安さに着眼して売買される「バリュー株」に転換しつつあるようにも見える。

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