公立病院の病床、25年度5%減どまり 強硬策で再編も - 日本経済新聞
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公立病院の病床、25年度5%減どまり 強硬策で再編も

公立病院の2025年度の病床数が現状からほとんど減らない計画であることが16日、分かった。厚生労働省によると、救急医療を担うが過剰とされる「急性期」の病床数は17年度比で5%減にとどまる。医療費の抑制には病床の削減が必要だが、自治体は地域の反発などを恐れて及び腰だ。厚労省は手術実績などが乏しければ再編を迫る強硬策に踏み切る。

急性期の病床は医療費もかさむ。実際には軽症の患者を受け入れることもあり、医療費のムダにつながるケースも目立つ。政府は急性期の病床数を実態にあわせて適切な数に減らし、在宅復帰を目指す回復期病床への転換を促している。

厚労省は同日開いた有識者会議で、25年度の公立病院の病床数をとりまとめて示した。それによると、急性期の病床数は25年度に10万8568床で、17年度比で5%の減少にとどまった。長い治療が必要な慢性期なども含めた全体の病床数は17万4423床から17万3620床とほとんど横ばいだ。

政府は団塊の世代の全員が75歳以上になる25年度を目標に、急性期の病床を減らす「地域医療構想」を進めている。各都道府県は民間病院を含め、25年度に必要な病床数をすでに定めている。公立病院は民間に先駆けて削減幅を示す必要があり、政府は18年度末までに地元での合意を得るよう締め切りを設けていた。

「さしたる議論もなく合意されている」「形骸化しているのでは」――。16日の有識者会議では参加者から落胆の声が相次いだ。公立病院の再編をめぐっては、首長選挙などで政治問題になりやすく進みにくいとの指摘が以前から出ていた。

厚労省は強硬策に出る。公立病院のほか日本赤十字社など公的病院を対象に、地域に欠かせないがん診療や救急などの実績を個別に検証。他の病院と代替可能と分析されれば「再編統合について議論が必要な病院」と位置づける。分析結果は今夏までに公表し、再編や統合も含めた抜本的な見直しを迫る。

総務省によると、17年度時点で不採算地区にある公立病院は4割にのぼり、へき地医療などを担っている意義はある。ただ都市部でも採算が悪い病院があり、全体の半数は赤字。厚労省は「非効率な医療につながっていないか検証すべきだ」との立場だ。

公立病院の将来像が固まらなければ他の民間病院の病床削減も足踏みする。公立病院の再編が進むかどうかは地域医療構想の成否を左右する。

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