認知症、70代を10年で1割減 政府が初の目標
政府は16日、70代の認知症の人の割合を10年間で1割減らすとした新たな大綱の素案を発表した。認知症の人数に関する数値目標を定めるのは初めて。高齢者の社会交流を促進するといった予防施策も明記した。予防に関する科学的検証はまだ不十分として、並行して検証用のデータの収集なども進める。

大綱は2015年に公表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の後継となる。19年から25年を対象期間とする。来月にも関係閣僚会議で正式決定する。
政府は、大綱最終年の25年、団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となることから、70代を対象に数値目標を設定した。70代での発症を10年間で1歳遅らせることを目指す。その結果、認知症の人の割合は25年に6%、29年に1割低下する。
16日に発表した最新の統計で、18年時点で高齢者のうち認知症の人は14.7%だった。世代別では70代前半は3.6%、70代後半で10.4%だった。25年にはそれぞれ3.4%、9.8%に引き下げる。
社会的交流を増やしたり、運動不足を改善したりすることで認知症を予防する。市民農園やスポーツ教室、大学の公開講座などを活用して高齢者の外出を促す。
こうした活動への参加割合は17年度で4.9%。20年度に6%、40年度に15%に引き上げる。予防法確立のため国内外の論文の検証も進める。
予防と並ぶ柱として、認知症の人の地域社会との共生を掲げた。自動車の運転をやめる高齢者の移動手段を確保するため、全国の中山間地域で自動運転車による移動サービスの実現を目指す。
新オレンジプランの主要施策の一つだった、見守り活動に取り組む「認知症サポーター」の普及も強化する。認知症の人と関わることが多い小売業や金融機関、公共交通機関の従業員らの中から25年までに400万人を養成する。
15年時点で約520万人の認知症の人は、25年に約700万人に増えると予想されている。