韓国水産物規制WTO敗訴、政府が検証 訴訟リスクの認識不足

2019/5/17 1:13
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政府は16日の自民党外交部会などの合同会議で、韓国による水産物輸入規制を巡る世界貿易機関(WTO)での「敗訴」を受け、検証結果を説明した。食の安全という機微に触れるテーマを扱っていることや、WTOの体制不備が判決に影響を与えるリスクへの認識が足りなかったとした。東日本大震災の被災地で操業する水産業者への支援策も示した。

政府側は部会でWTOで食品の輸入規制を扱う難しさを指摘した。事例に挙げたのがホルモン剤を使った牛肉の輸入規制。安全性を根拠に規制解除を求める米国と、食の安全の問題では輸入国の裁量を広く認めるべきだと主張する欧州が1980年代から対立する。

日本は韓国が規制する福島など8県産の水産物が年間1ミリシーベルト以下の被曝(ひばく)量という数値基準を満たしており、韓国の措置が不当と訴えた。最終審である上級委員会は数値基準以外の分析が足りないとして、一審の判断を取り消した。外務省幹部は「食の安全を巡る問題では上級委が慎重な判断をする可能性を考慮して訴訟戦略を立てるべきだった」と話す。

これに加え、政府はWTOの体制も判決に影響したと結論づけた。米国はかねて上級委が踏み込んだ判断を下しすぎだと批判しており、上級委メンバーの任命拒否を続ける。現在は審理に最低限必要な3人しかいない。米国のこうした対応を受けて上級委が必要以上に判断をためらい、今回の判決になった可能性があると外務省は指摘する。

政府は部会で判決を踏まえた今後の水産業支援策の案も示した。輸入規制は23カ国・地域で残っており、香港や台湾など輸出額が大きい国・地域を優先して規制解除を要請する。東北産ホタテやカキの欧州連合(EU)や米国への輸出を解禁するため、2019年度中に米欧が求める海域のモニタリングに取り組む方針も示した。

外務省は4月26日のWTO会合で米国やEU、サウジアラビアなど10以上の国・地域が日本に理解を示したと説明した。こうした支持表明を踏まえて各国と交渉し、輸出解禁につなげる。

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