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Looop、那須に国内初の「林間太陽光」併設で保養施設

日経クロステック

太陽光発電関連事業を手掛ける新電力のLooop(ループ、東京・台東)は5月13日、栃木県那須町のリゾート別荘地「那須ハイランド」内に完成した、太陽光発電設備を併設した自然共生型宿泊施設「ソラテラス」の竣工式を開催した。

南向き斜面に位置する約3000平方メートルの敷地内に4棟の宿泊施設と庭園があり、Looopの社員向け保養所としての利用のほか、那須ハイランドの管理会社を通じて貸別荘としても活用する。4棟とカーポート3基の屋根上に太陽光パネルを搭載したほか、庭園内の木々の間に15の架台を設置し、アレイ(太陽光パネルの設置単位)を設置した。

太陽光発電設備は、屋根上とカーポート上、庭園内の15アレイの合計で約200キロワット(kW)の出力規模となる。発電電力は、4つに区分して低圧配電線に連系し、固定価格買い取り制度(FIT)を利用して全量を売電する。

15のアレイ下には、作物栽培のほか、ブランコやハンモックなどを取り付けたり、バーベキュー施設を設けたりして、宿泊者の憩いの場として利用する。パネル下にある程度、光が漏れるように、アレイの一部を透明の樹脂に代えて採光に配慮した。

事業用地は、もともと企業の保養施設を撤去した後の遊休地で、Looopが発電所用地として購入したものの、別荘地内であることから、景観上、建築・工作物の設計などに制約があった。そこで同社は、別荘地の管理組合と協議を重ね、木を切らずにパネルを配置する「自然共生型宿泊施設」として開発を進めてきた。

庭園内に配置したアレイに関しては、樹木を切らずに木立の間に配置したことから、木陰になる時間帯が多くなるものの、「200kWの発電設備全体で考えると、木の陰による発電量のロスは年間で5%程度に抑えられる」(中村創一郎社長)という。事前にパネルに当たる日照変化などを繰り返しシミュレーションし、木の影を最少に抑えるように太陽光パネルの位置や高さ、向きなどを綿密に設計したという。

カーポートは集成材などによる木製構造で太陽光パネルも木製架台に取り付けた。宿泊施設4棟の上には鋼製の枠にパネルを搭載。庭園内のアレイの固定には、鋼製の杭基礎と架台を使った。太陽光パネルはLooop製の単結晶シリコン型両面ガラスタイプ(280W/枚)、パワーコンディショナー(PCS)は田淵電機製と安川電機製を採用した。

竣工式には、事業者や設計・施工関係者のほか、那須町の平山幸宏町長、事業費用を融資した城南信用金庫の吉原毅顧問、元首相で再生可能エネルギーを推進している菅直人氏と小泉純一郎氏など、約40人が参加した。Looopの中村社長は、「何度もコンセプトを練り直し、ようやく完成に至り、まさに感無量。豊かな木々、そして光・水と共生した新しいタイプの太陽光発電のあり方を那須町から提案していきたい」と述べた。

(日経BP総研クリーンテックラボ 金子憲治)

[日経 xTECH 2019年5月15日掲載]

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