2019年5月20日(月)

大阪府警に専属警備犬 G20控え、テロ対策や災害救助

関西
社会
2019/5/16 11:22
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6月の20カ国・地域(G20)首脳会議や9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)を控え、大阪府警は4月、テロ警戒などに当たる警察専属の警備犬の運用を始めた。爆発物の探索やテロリストの制圧が主な任務で、専属犬の導入は西日本の警察で初めて。災害現場の救助活動でも活躍が期待されている。

造幣局の「桜の通り抜け」の場内で不審物がないか調べる警備犬(4月、大阪市北区)

造幣局の「桜の通り抜け」の場内で不審物がないか調べる警備犬(4月、大阪市北区)

4月9日、大阪市北区の造幣局。「桜の通り抜け」開始を前に、警備犬のジャーマンシェパード「レオン号」と「JJ号」が「ハンドラー」と呼ばれる指導役の警察官の指示で、花のアーチの下を動き回り不審物を探索した。専属犬の出動はこの日が初めて。府警幹部は「犬とハンドラーの歩調が合っているのは信頼関係ができている証し」と話した。

府警警備課は2018年度、専用の犬舎を設けて育成に着手。ハンドラーの警察官は「警察犬」を擁する鑑識課員の助言も受けながら、犬と共に訓練を積んできた。警備犬の活用で先行する警視庁を念頭に「東の警視庁、西の大阪府警と言われるようになりたい」と意気込む。

事件現場に残る犯人の遺留品のにおいから逃走経路などを割り出す警察犬に対し、警備犬は爆発物探索やテロリスト制圧が任務。地面のにおいをかぎ分ける警察犬の「地鼻」と対比し、警備犬は空気中に漂う爆発物のにおいをかぐ「高っ鼻」が得意とされる。

府警は10年、民間の訓練士らが飼育し、警察の要請で出動する「嘱託」警備犬の運用を始め、大阪マラソンでの警戒などを担ってきた。ただ民間のハンドラーに危険な場所への立ち入りやテロリスト制圧を頼むわけにいかず、出動に制約があった。急な出動要請は断られることもあるという。

こうした実情や世界各国で爆弾などを使ったテロが相次いでいることも踏まえ、府警は直轄する警備犬の導入を決めた。人の数千倍とされる嗅覚を生かし、テロ発生を水際で防ぐ役割を担う。「大阪ではG20首脳会議やラグビーW杯開催も控え、警備犬への期待は高い」(府警幹部)。災害現場での被災者捜索で他府県への派遣も検討する。

府警は警備上の理由を挙げ、直轄警備犬の頭数を明らかにしていない。警察庁によると、直轄警備犬は1980年に警視庁が初めて導入。19年1月末時点でほかに愛知、埼玉、千葉、北海道の道県警が運用している。

国際テロ情勢に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長は「街頭などでは機械を使って爆発物を探索する方法もあるが、手間がかかり非効率。火薬のにおいをかぎ分ける警備犬はピンポイントで見つけ出し、精度も高い」と指摘。「犬を連れて警戒に当たればテロリストへの心理的な抑止効果も持つだろう」と話している。

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