2019年5月20日(月)

被災神社の「合祭殿」福島で 災害から再建は初

社会
2019/5/16 9:26
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東京電力福島第1原発事故からの復興に取り組む福島県で、原発事故の影響で立ち入りができなくなったり、東日本大震災や津波で破壊されたりして再建が困難な神社をまとめる形にした「合祭殿」の建設計画が進んでいる。各神社に残すご神体から分霊して合祭殿に祭り、氏子らが地元の神社の代わりに参拝できるようにする。

合祭殿の建設候補地になっている八幡神社で、8年ぶりに復活した神事を取り仕切った宮司ら(4月、福島県双葉町中野地区)=共同

神社本庁(東京)によると、災害などで存続が困難な神社を救うために建設するのは全国で初めて。各神社の獅子舞や神楽が復活できるようにし、祭りや伝統芸能の伝承の場としても期待される。過疎で神社の維持に悩む地域も増えており、参考になりそうだ。

合祭殿の形式をとる神社は山形県鶴岡市にもあるが、各神社に向かうのが困難な冬季に参拝するのが目的だ。福島県神社庁によると、第1原発が立地する双葉町の八幡神社(同町中野地区)を再建し、合祭殿を兼ねさせる計画。2020年度中の完成を目指す。

今年3月末時点で、立ち入り制限が続く「帰還困難区域」に取り残された神社は44カ所、津波などで壊れたりしたままの神社は30カ所に上り、少なくとも計74カ所が再建が困難な状況にある。今後、各神社で実際に参加するかどうかを決める。

事故で立ち入り禁止になった第1原発の半径20キロ圏の神社約240カ所では11年8月、刀やお札などのご神体から分霊を受け取る神事が行われた。このうち一部が、再建困難な74カ所と重なる。

離れ離れになった氏子から再建資金を募るのは難しく、政教分離の原則から行政の支援も見込めない。苦境を打開しようと県神社庁の役員会などで協議し、合祭殿の構想が浮上。昨年6月、原発事故の影響が深刻な双葉町や大熊町などの神社の宮司が集まり建設で合意した。

県神社庁の丹治正博庁長は「地域コミュニティーの拠点である神社の復興は被災者の心のよりどころになる」と話す。〔共同〕

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