米メトロポリタン美術館、製薬創業家の寄付拒絶
オピオイド中毒問題めぐり
【ニューヨーク=西邨紘子】米メトロポリタン美術館は15日、米富豪サックラー一族からの寄付を今後、受け入れない方針を発表した。サックラー家は米医薬品メーカー、パーデュー・ファーマの創業一族で、オピオイド系鎮痛薬「オキシコンティン」の販売で巨額の財を成した。米国ではオピオイド中毒のまん延について、サックラー家の責任を問う声が高まっていた。

サックラー一族は美術館や文化施設への寄付活動で知られる。メトロポリタン美術館によると、同一族は過去50年間にわたり同美術館の大口支援者だった。同館内には古代エジプトの彫刻などを展示する「サックラー棟」がある。
同一族が設立し、寄付活動を手掛ける「サックラー・トラスト」は、文化施設の支援は鎮痛薬の発売以前から続けており、トラストはパーデュー・ファーマの経営と直接の関わりはないと主張してきた。
ただ、最近では米メディアがサックラー一族が鎮痛薬の販売拡大に果たしたとされる役割や、利益を享受していた実態を相次ぎ報道。法的責任を問う訴訟も相次ぎ、同家から寄付を受け取る文化施設を批判する世論が高まっていた。これまでにグッゲンハイム美術館(ニューヨーク市)など複数の文化施設が寄付の受け取り拒否を表明していた。