2019年5月25日(土)

イラン支援の武装組織フーシ、サウジ施設を攻撃、米・イランの「代理戦争」か

中東・アフリカ
2019/5/15 19:30
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【カイロ=飛田雅則】サウジアラビアの石油施設がイエメン内戦で対立する武装組織の攻撃を受け、サウジを支援する米国と、武装組織の後ろ盾のイランの緊張が一段と高まってきた。イエメンでは米国の同盟国サウジが支援するハディ暫定大統領側と、イランが支えるイスラム教シーア派武装組織「フーシ」が戦ってきた。イエメンでの対立の構図が飛び火し、米国とイランの「代理戦争」となれば、中東情勢は一段と複雑となり、偶発衝突のリスクが高まる。

アラブ首長国連邦(UAE)沖で攻撃を受けたサウジアラビアのタンカー(13日)=ロイター

爆発物を載せたドローン(無人機)が14日、サウジ東部の油田と西部の港をつなぐ石油パイプライン施設を2カ所攻撃した。深刻な損傷や死傷者はなかったもようだが、サウジの国営石油会社サウジアラムコはパイプラインの稼働を停止した。

フーシが運営するテレビ局は14日、サウジに対するドローン攻撃を認めた。「イエメンでの攻撃や封鎖に対する報復だ。さらに激しく攻撃する用意がある」と強調した。

経済の根幹である石油施設が狙われたことに対して、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は同日「最新のテロで破壊活動だ」と批判した。「フーシなどテロ組織」に対処するとも述べた。フーシはイエメン北部を拠点とする。シーア派政権のイランが支援してきたとみられている。

イエメンをめぐっては2011年に本格化した民主化運動「アラブの春」の余波で国内が不安定化した。15年にクーデターを起こしたフーシが首都サヌアの大統領宮殿を包囲し、ハディ暫定大統領が脱出した。同年にサウジが主導するアラブ連合軍がハディ暫定政権を支援する形で、イランが背後にいるフーシを掃討するため軍事介入すると激しい内戦となった。

最近になって、ハディ暫定政権とフーシは国連仲介で部分停戦に応じた。国連は14日、ハディ暫定政権とフーシの両者が西部の物流拠点ホデイダの港湾から撤退し、港湾警備当局に引き渡したことを確認した。停戦に向けた動きとして期待されたが、サウジの石油施設の攻撃で情勢は再び流動的となっている。

12日にはアラブ首長国連邦(UAE)の沖合でサウジ、UAEなどのタンカーが攻撃を受け、船体が大きな被害を受けた。米メディアは米国と同盟関係にあるサウジのタンカーなどへの破壊活動に、イランあるいはイランの支持者が関与した可能性があると米当局が分析していると報じた。

イラン側でフーシを支援してきたのは、最高指導者ハメネイ師の直属の精鋭部隊、イラン革命防衛隊だとされる。4月には革命防衛隊の司令官が対米・サウジ強硬派の代表格といわれるホセイン・サラミ氏に代わった。

折しも米国が革命防衛隊をテロ組織に指定した直後のトップ交代だけに、イラン国内の対米強硬派の伸長がうかがえる。

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