2019年7月17日(水)

コンペ、ベテランに交じり女性監督は4作品
カンヌ映画祭リポート(1)

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2019/5/15 17:00
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世界最大級の映画祭、第72回カンヌ国際映画祭が14日夜、華やかに幕を開けた。世界各国から名だたる監督や俳優たちが集まり、レッドカーペットを踏んだ。映画祭の華で最高賞パルムドールを競うコンペティション部門には、そうそうたる監督の作品が並んでいる。

第72回カンヌ国際映画祭開幕式の会場に入る「ザ・デッド・ドント・ダイ」のジム・ジャームッシュ監督(右端)ら(14日、フランス・カンヌ)=AP

第72回カンヌ国際映画祭開幕式の会場に入る「ザ・デッド・ドント・ダイ」のジム・ジャームッシュ監督(右端)ら(14日、フランス・カンヌ)=AP

コンペ部門に選ばれたのは21作品。オープニング作品でもある「ザ・デッド・ドント・ダイ」のジム・ジャームッシュ(米国)、テレンス・マリック(同)、クエンティン・タランティーノ(同)ペドロ・アルモドバル(スペイン)、ダルデンヌ兄弟(ベルギー)、アルノー・デプレシャン(フランス)、ケン・ローチ(英国)といった映画祭常連の欧米出身べテラン監督の名が並ぶ。その中に、初の長編となるマティ・ディオプ(フランス)、「ルルドの泉で」のジェシカ・ハウスナー(オーストリア)ら女性監督の4作品が入った。「#MeToo」運動を受けて、前回の審査員長だった女優のケイト・ブランシェットは女性の権利向上を訴えた。昨年、女性監督の作品は3本だった。今年1本増えたのは、「コンペ部門に女性監督の作品が少ない」との声に配慮した結果ともみえる。

昨年には米ネットフリックスなどの配信事業者を事実上閉め出す決定もあった。今年も同社の作品は選ばれなかった。「フランスで劇場公開しない作品は、コンペ部門への参加を認めない」というルールを昨年設定した結果だ。ただ、水面下では出品に向けて同社と映画祭側が協議していたが物別れに終わったとの報道もあった。

アジアからは2本が選ばれた。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受けた「薄氷の殺人」で世界的な話題となった中国のディアオ・イーナン、そして「殺人の追憶」「グエムル―漢江の怪物―」などで知られる韓国のポン・ジュノの2人だ。

カンヌ映画祭で世界に羽ばたいていったオールスター監督を集めるとともに、女性を含めた新しい才能を見いだし新陳代謝をはかっていこうとする映画祭側の意志を感じるラインアップとなった。

14日夜、開幕したカンヌ国際映画祭コンペ部門の審査員ら=ロイター

14日夜、開幕したカンヌ国際映画祭コンペ部門の審査員ら=ロイター

同部門の審査員長は「バベル」で同映画祭の監督賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが務める。イニャリトゥはメキシコ出身で、東京国際映画祭で審査委員長をした経験を持つ。審査員は全9人で、うち女性は4人。中でも米国の俳優エル・ファニングは21歳という若さ。開会式に先立つ記者会見で「審査員の依頼があったときは本当に驚いた。若い視点で審査したい」と話した。

賞の対象とはならないアウト・オブ・コンペティション部門では、日本でもヒットした「男と女」の50年後を描くクロード・ルルーシュ監督の作品やエルトン・ジョンの半生を描くデクスター・フレッチャー監督の「ロケットマン」など話題作が選ばれた。

映画祭の企画部門カンヌ・クラシックでは、日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」(藪下泰司監督、1958年公開)がデジタルリマスター版となって上映される。

日本映画は、同映画祭と並行して開かれる監督週間に三池崇史監督の長編「初恋」、吉開菜央監督の短編「Grand Bouquet」、批評家週間に富田克也監督の短編「典座―TENZO―」が選ばれた。

昨年は是枝裕和監督「万引き家族」がパルムドールを受賞して幕を閉じたが、今年は残念ながら日本人監督の作品はコンペなど正式部門に入らなかった。しかし、昨年のコンペに出品されたジャン=リュック・ゴダール監督の「イメージの本」が現在日本で公開中であるように、今後およそ1年間に日本で公開される世界の映画を知る絶好の機会でもある。コンペ作品を中心に現地から世界の映画の潮流をリポートする。

(カンヌにて、近藤佳宜)

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