2019年6月27日(木)

ユニコーン狙う投資家 上位10社の全容

CBインサイツ
スタートアップ
コラム(テクノロジー)
2019/5/20 2:00
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CBINSIGHTS

 未上場ながら企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」企業。めったにお目にかかれないという意味で伝説の生き物になぞらえられたが、今や世界で340社を超えている。人工知能(AI)などのテクノロジーの進化が新興企業の評価を押し上げているからだ。ユニコーンの実力をいかに早く見抜いて資金を投じるかが、ベンチャーキャピタルの腕の見せどころ。ソフトバンクグループが「10兆円ファンド」を率いて存在感が高まっているが、他の投資家も負けてはいない。

いわゆるユニコーンは5月5日現在、世界に344社ある。CBインサイツは世界のあらゆるユニコーンをリアルタイムで追跡している。

未上場ながら企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」企業に世界の投資家が注目している

未上場ながら企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」企業に世界の投資家が注目している

こうしたユニコーンに出資している投資家は公表ベースで計2018に上る。このうち72%は1社だけの出資にとどまるが、なかには10社、20社、さらには40社以上に資金を投じる投資家もいる。

本稿ではCBインサイツのデータを活用し、多くのユニコーンに出資している投資家や、こうしたユニコーンが新規株式公開(IPO)や第三者への売却を果たした場合、多額のリターンが見込める投資家について調べる。

ここではトップ投資家の全貌や、事業の初期段階にあたる「アーリーステージ」での出資が多い投資家、投資効率が高い投資家、地理的傾向、過去の分析について取り上げる。

■主なポイント

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

・投資先ユニコーンの合計評価額が最も高いのは、ソフトバンクグループの3890億ドル。これはタイガー・グローバル・マネジメントよりも45%多く、中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の2倍以上にあたる圧倒的な規模だ。

・最も多くのユニコーンに投資しているのは、米大手投資ファンド、タイガー・グローバル・マネジメントの42社。

・ユニコーン各社が実施した資金調達への参加回数が最も多いのは、米セコイア・キャピタルの99回。

・5社以上のユニコーンに出資している機関投資家は143社で、17年2月の76社から増えた。

■投資先企業別の概要

最も多くのユニコーンに投資しているのは、ニューヨークに拠点を置くタイガー・グローバル・マネジメントの42社だった。2位には40社のテンセント、3位には38社のソフトバンクがつけた。

上位10社入りを果たしたのは順番にセコイア・キャピタル・チャイナ(35社)、セコイア・キャピタル(33社)、米クライナー・パーキンス(30社)、香港のDSTグローバル(29社)、米フィデリティ・インベストメンツ(28社)、米アンドリーセン・ホロウィッツ(28社)、米ウェリントン・マネジメント(26社)だった。

ユニコーン投資家上位10社と、各社が出資しているユニコーンの評価額上位10社(19年5月5日時点)

ユニコーン投資家上位10社と、各社が出資しているユニコーンの評価額上位10社(19年5月5日時点)

評価額が高いユニコーンの多くは、投資家上位10社の複数から出資を受けている。例えば、民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビー(評価額290億ドル)には10社中8社が出資している。米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズ(720億ドル)は6社、米決済支援大手ストライプ(225億ドル)は5社に上る。

■投資先企業の評価額別の概要

投資先企業の合計評価額が最も高いのはソフトバンクで、ユニコーン38社の評価額は計3890億ドルに上った。

2位はタイガー・グローバル・マネジメント(2690億ドル)、3位はフィデリティ・インベストメンツ(2310億ドル)だった。

ユニコーン投資家上位10社のうち、投資先の合計評価額が最も低かったのは1340憶ドルのアンドリーセン・ホロウィッツで、ソフトバンクの約3分の1にとどまった。

投資先企業の評価額に基づく分類
それぞれの円はユニコーン1社への出資を表す。円の大きさは現時点(19年5月5日)での評価額に対応している

投資先企業の評価額に基づく分類
それぞれの円はユニコーン1社への出資を表す。円の大きさは現時点(19年5月5日)での評価額に対応している

■初期段階での出資件数が多い投資家

事業初期段階の資金調達ラウンドでユニコーンに出資した投資家は、投資を回収するエグジットでより多くのリターンを得やすい。ここでは「シード(種)ラウンド」や「シリーズAラウンド」で最も多くのユニコーンに出資している投資家について調べた。

首位に立ったのは、17年2月の前回分析に続き米SVエンジェルだった。セコイア・キャピタルは2位から4位に後退し、米起業支援大手のYコンビネーターが2位、セコイア・キャピタル・チャイナが3位に入った。

初期段階のユニコーンへの出資件数が多い投資家
シード/シリーズA段階でのユニコーンへの出資件数(19年5月5日時点)

初期段階のユニコーンへの出資件数が多い投資家
シード/シリーズA段階でのユニコーンへの出資件数(19年5月5日時点)

■投資効率が高い投資家

投資各社の目利き力を測る一つの手段は、ユニコーン投資件数全体に対する初期段階での投資件数の割合に注目することだ。言い換えれば、最初から投資に参加している回数がどれほど多いかということになる。

投資効率が最も高いのはYコンビネーターだった。ユニコーン投資18社のうち、16社の初期の資金調達に参加している。SVエンジェル(23社中18社)と米IDGキャピタル(18社中11社)が続いた。

下の表はユニコーンへの出資件数が多い投資家と、各社の初期段階での出資件数を示している。

投資家ユニコーンへの
出資件数
初期段階での
出資件数
Tiger Global Management424
Tencent Holdings404
SoftBank Group381
Sequoia Capital China3514
Sequoia Capital3311
Kleiner Perkins305
DST Global293
Fidelity Investments280
Andreessen Horowitz2811
Wellington Management260
Accel2410
SV Angel2318
Institutional Venture Partners232
Google Ventures236
Goldman Sachs231
New Enterprise Associates229
GGV Capital223
General Atlantic212
Temasek Holdings201
Hillhouse Capital Management202
Index Ventures197
Founders Fund197
Baillie Gifford & Co.190
Y Combinator1816
T. Rowe Price180
IDG Capital1811
GIC182
Thrive Capital176
ICONIQ Capital170
Coatue Management170
capitalG170
Alibaba Group173
Spark Capital152
Qiming Venture Partners158
Insight Partners152
Khosla Ventures148
General Catalyst135
Warburg Pincus123
Shunwei Capital Partners126
KKR122
Bessemer Venture Partners121
Sharespost110
Ribbit Capital114
Lightspeed Venture Partners113
Greylock Partners115
G Squared110
Dragoneer Investment Group110
Battery Ventures112

■地理的傾向

ユニコーンのほぼ半数(49%)は米国に拠点があり、中国が26%で続いている。ユニコーン投資家上位10社は大半が米企業で、中国企業が2番目に多い。

当然ながら、中国に拠点を置く投資家は中国のユニコーンへの出資が比較的多く、米国に拠点を置く投資家は米国のユニコーンへの出資が比較的多い。

ユニコーン投資家の地理的傾向
ユニコーンに対する投資の国ごとの内訳(19年5月5日時点)

ユニコーン投資家の地理的傾向
ユニコーンに対する投資の国ごとの内訳(19年5月5日時点)

ユニコーン投資家上位10社のうち米国に拠点がある企業は全て、米ユニコーンへの投資が半分以上を占めている。上の表に記載された投資家のうち、テンセントとセコイア・キャピタル・チャイナ以外は全て米企業への投資が大部分に上る。

中国のユニコーンへの投資件数が最も多いのはセコイア・キャピタル・チャイナの27社で、中国のユニコーン全体の29%に及ぶ。

米国と中国以外のユニコーンへの投資件数が最も多いのはソフトバンクの18社だ。

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