2019年5月24日(金)

広まる災害時ケアプラン 福祉専門職、地域と仲介

社会
2019/5/15 10:56
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地震などが起きた際、高齢者や障害者がどう避難するかを定める「災害時ケアプラン」を、ケアマネジャーや相談支援専門員が作る動きが広まっている。本人をよく知る福祉の専門職が仲介役となり、当事者や地域住民と話し合って作るのが狙いだ。

障害がある人や相談支援専門員、自治会などが参加した災害時ケアプランに関する会議(2017年11月、大分県別府市提供)=共同

一方、国が指針で示した要支援者の「個別計画」は、作成が主に地域に委ねられていることが多い。専門家は「特に都市部は町内会のなり手不足が深刻で、障害がある人と接する機会も少ない。専門職が仲立ちするのは効果的だ」と強調する。

「地域からは何も声掛けがなかった」。四肢や体幹の筋力が衰える脊髄性筋萎縮症で車いすを使う紺野順子さん(57)は、昨年9月の北海道地震をそう振り返る。札幌市北区のマンションで一人暮らし。幸い地震時は家にヘルパーがいたが、1人になる時間帯もある。

市の避難行動要支援者名簿には、施設入所者も含め約11万人が登録されている。町内会などから申請があれば本人に同意を取り、登録者の情報を提供。地域側はそれを基に、個別計画を作ることになっている。

紺野さんは2016年ごろに情報提供に同意したが、町内会の男性に「何かあったら自分が来る」と言われただけ。「地域の人も何をすれば良いか分からず、困っているのでは」と話す。

大分県別府市では16年、県社会福祉協議会の元職員村野淳子さん(55)が「防災推進専門員」に就き、災害時ケアプランに取り組んできた。相談支援専門員などはまず本人や家族と、どんな災害が起きうるか、避難方法や必要な配慮、備えについて話し合う。

その後、自治会と会議を開き、車いすを複数の人で押す、視覚障害者の手を引き誘導するなど、周辺住民がどう関わるか決める。プランができたら避難訓練を行い、検証する流れだ。

18年度末までに44人が計画を作り、9人が検証した。「リヤカーに本人を乗せれば、急な坂も上りやすい」など、地域側から案が出ることも。村野さんは「日常の枠組みに防災の仕組みを入れないと、命は守れない」と力を込める。

兵庫県の播磨町と丹波篠山市も昨年度、プラン作りや研修会を始め、他の県内自治体にも広がる見通しだ。別府市と兵庫県は19年度から、ケアマネジャーらへの報酬の上乗せや経費に予算を充てる。

プラン作りに関わってきた同志社大の立木茂雄教授(福祉防災学)は「自治体では福祉と防災の部署が縦割りで、連携できていないことが多い。障害者が地域で暮らすことは当たり前になりつつあり、緊急時の想定は必須だ」と指摘している。

〔共同〕

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