家族ら「死期予測できず」4割 終末医療の方針早めに
家族らをみとった経験がある人の約4割が、亡くなる直前まで死期を予想できていなかったことが、みずほ情報総研の調査で分かった。終末期は急に症状が悪化する場合もあり、患者と意思疎通ができなくなると家族や医師が治療の継続・中断などの判断をしづらくなる。同総研は「元気なうちから終末期の治療の希望について話し合うべきだ」としている。

調査は2018年1月、過去10年の間に家族や近親者をみとった50~60代の男女1000人を対象に、インターネット上でアンケート形式で実施した。死因はがん(31%)が最も多く、老衰(23%)や肺炎(18%)、心疾患(10%)などが続いた。
「亡くなる2~3カ月前に死が近いと思っていたか」との質問では、20%が「亡くなるのはもっと先だと思った」と答えた。「(死が)突然で全く予期していなかった」(17%)を合わせ、4割近い人が直前まで死期を予想できていなかった。
亡くなる時期が想定できないと、患者本人が終末期に望むケアが受けられなくなる懸念がある。特に脳・心臓疾患などは亡くなる直前に急激に病状が悪化し、認知症の場合は重症化すると意思疎通が難しくなる。
死期を予想していたという約6割の家族に対し、その理由を複数回答で尋ねたところ、「本人の心身状態を見て思った」が22%に上った。最も多かったのは「かかりつけ医から説明を受けていた」(37%)で、医師の対応が家族の認識に大きく影響していた。
厚生労働省は18年3月に終末期の指針を改定し、患者が元気なうちに家族や医師などが繰り返し話し合って治療内容を決めるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を盛り込んだ。
ただ、同省が18年2月に発表した調査によると、ACPを実践している医師は全国で3割程度で、「ACPを知らない」と答えた医師は4割に上った。国民の認知度も3%にとどまっている。
みずほ情報総研の羽田圭子チーフコンサルタントは「みとりの時期は家族でも予測が難しく、元気なうちは死について話しにくいという人も多い」と指摘。「家族との日常会話の中で、将来どう暮らしたいかなど少しずつ話し始めることが重要だ」と強調した。
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