2019年6月27日(木)

九州・沖縄地銀の6割、最終減益 信用コスト3倍に

金融機関
九州・沖縄
2019/5/14 21:00
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九州・沖縄の地方銀行の2019年3月期決算が14日出そろった。単体では全21行の6割にあたる13行が最終減益。前の期の8行から大幅に悪化した。マイナス金利政策の影響などで貸出金利回りの低迷が続くほか、貸付先の倒産に備えた貸倒引当金を含む「信用コスト」も約3倍に。手数料ビジネスに注力する動きも広がるが、地方金融の先行きはなお不透明だ。

「決算の数字は悪くなかった。ただマイナス金利政策の長期化で金融機関の多くがへたり込んでいる。貸出金利は地をはう状況だ」。同日、福岡市で記者会見した西日本フィナンシャルホールディングス(FH)の谷川浩道社長は厳しい表情で語った。

貸出金利息や有価証券利息配当金、手数料収入といった本業のもうけを示す実質業務純益は11行が減益。佐賀共栄銀行を除く20行で貸出金利回りが下がり、筑邦銀行の佐藤清一郎頭取は「(利回り低下の要因は)他行との競争が一番大きい。これ以上は銀行業務が成り立たない」と話す。

期末の貸出金残高も20行で増加し、九州フィナンシャルグループ(FG)の上村基宏社長は「今はボリュームで補っている」と明かした。

西日本FHの谷川社長(中)は記者会見で長引く低金利政策に厳しい表情をみせた(14日、福岡市中央区)

西日本FHの谷川社長(中)は記者会見で長引く低金利政策に厳しい表情をみせた(14日、福岡市中央区)

中小企業を中心に人手不足が深刻化していることなどもあり、貸倒引当金や不良債権処理費用などの信用コストも問題になりそう。全21行の合算は192億円。前の期から3倍程度になり、利益を押し下げた。

これまでは含み益のある有価証券を売ることで収益の支えにする手段もあったが、ある地銀幹部は「余力が減ってきている」と指摘。為替や口座振り替え、預かり資産の手数料だけでなく、事業承継やM&A(合併・買収)仲介などに伴う手数料収入を底上げする動きも広がる。ただ手数料収入を示す「役務取引等利益」が増えたのは8行にとどまった。

■金融庁の新指針「勢力図変わる可能性」

九州・沖縄の各行は低金利環境の長期化を所与のものとして、法人向け手数料ビジネスの強化など「稼ぐ力」をつけるのに躍起だ。だがふくおかフィナンシャルグループでも「急激には増やせない」(柴戸隆成会長兼社長)ことが改めて明らかになった。

金融庁は新しい監督指針で、将来の収益力に懸念がある地域金融機関の経営にメスを入れ、早めの改善を求める方針を示している。西日本フィナンシャルホールディングスの谷川浩道社長は「当局主導で再編が推し進められ、九州の地銀勢力図が変わってくるかもしれない」と語る。

各行の頭取は、自行が進む道を見定めはじめた。宮崎銀行と地域創生で包括連携協定を結んだ大分銀行の後藤富一郎頭取は、近い将来の経営統合を否定しつつ「海外展開や業務拡大では規模がメリットになる」とした。

一方で単独路線を維持すると強調した南日本銀行の斎藤真一・次期頭取は、「業務を絞りながら経営資源をどこに特化するか考える」という。

「地域なくして地銀は存在しえない」。各行の頭取はこう口をそろえる。ではどのような銀行が地域に最も貢献できるのか。収益源が限られるなか、明確に自行の役割を示すときがきているのではないか。

(高城裕太、今堀祥和)

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