2019年7月20日(土)

中国、ギリシャと「一帯一路」推進合意
伊に続き欧州開拓 対米摩擦で備え

中国・台湾
2019/5/14 19:26 (2019/5/14 21:01更新)
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【北京=羽田野主】習近平(シー・ジンピン)国家主席は14日、北京でギリシャのパブロプロス大統領と会談した。習指導部は4月以降、ギリシャ政府首脳と頻繁に接触しており、広域経済圏構想「一帯一路」で重要な位置にあるギリシャを取り込む狙い。米との貿易戦争が激化するなか、イタリアに続きギリシャを欧州連合(EU)を切り崩す足がかりにする。

歓迎式典で習近平氏と歩くギリシャのパブロプロス大統領(14日、北京)=ロイター

「ギリシャは中国にとってよき友だ。ともに一帯一路を成功させよう」。習氏は人民大会堂での会談で呼びかけた。パブロプロス氏は「中国建国70周年の節目に訪中できてうれしい」と述べた。

トランプ米政権が対中追加関税を引き上げた北京時間5月10日正午。中国国営テレビのニュースは関税や米中協議に一切ふれず「習国家主席の招待でギリシャ大統領が訪中」とトップで伝えた。

ギリシャは一帯一路で欧州を攻略する重要な足がかりだ。習指導部はかつて債務危機に陥っていたギリシャを財政支援し、中国の国有企業がギリシャ最大規模のピレウス港を買収した。中国の耿爽副報道局長は5月13日の記者会見で「ピレウス港は非常に成功した模範例だ」と述べた。

ギリシャと中国は急接近している。4月下旬にはチプラス首相が訪中して一帯一路の会議に出席した。チプラス氏は4月に中国が中東欧諸国と経済協力を話しあう首脳会議「16+1」にも初めて参加した。ギリシャのカトロガロス外相は「中国とは共通の利益がある」と語る。

ギリシャと並んで中国が欧州攻略の拠点と位置づけるのはイタリアだ。3月には主要7カ国(G7)として初めて一帯一路に参加する覚書を結び、4月に北京で開いた一帯一路の首脳会議にもコンテ首相が参加した。

中国の国有企業は欧州と地中海の各地を結ぶ要衝、イタリアのトリエステ港の整備拡張に乗り出す。ギリシャのピレウス港からイタリアのトリエステ港へと一帯一路のルートを延ばし、海上輸送網を強化する。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは5月10日「ローマは古代の中国人入植者によって作られた」「ギリシャ語やラテン語は古代の中国語に起源がある」と題する広告記事を載せた。中国当局が欧州文明の源流であるギリシャやイタリアと距離を縮めようとしているのは間違いない。

中国は一帯一路の沿線64カ国向けの貿易を急拡大させている。19年1~4月は輸出入全体(人民元建て)が4%増にとどまるなか、一帯一路向けは9%増えた。一帯一路向けの輸出入は米国向けを大きく上回る。

中国政府系シンクタンク関係者は「中国の貿易総額に占める対米貿易額は2割に満たない。周辺国との貿易拡大で乗り切れる」と強気の構えをみせる。習指導部は「米国外」の市場を開拓していく方針だ。

習指導部は5月15日から「アジア文明対話大会」を北京などで初めて開催する。中国の文化や芸術、学術研究など「ソフトパワー」を一帯一路圏に浸透させる狙いで、習氏が自ら提唱した。開幕式にはギリシャのほかカンボジアやシンガポール、スリランカなど47カ国の政府関係者や文化、教育、観光、メディアなどの関係者計2千人が出席する予定だ。

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