2019年9月21日(土)

アップル、揺らぐアプリ配信基盤 米最高裁、独禁訴訟の継続を判断

2019/5/14 14:43
保存
共有
印刷
その他

【シリコンバレー=白石武志】米アップルが「iPhone」の普及とともに育ててきたアプリ配信の事業モデルが揺らいでいる。米連邦最高裁判所は13日、アプリの価格が不当に高いとして米消費者らが同社を相手取って起こした反トラスト法(日本の独占禁止法)訴訟を続ける判断を示した。アプリを中心とするサービス部門に軸足を移すアップルにとって痛手となる恐れがある。

アップルのアプリ配信サービス「アップストア」では、ゲームを中心に約200万種類が配信されている。iPhoneやタブレット端末「iPad」の利用者がアプリを入手できるのは同サービスだけで、アップルは「プラットフォーマー」として独占的な市場を形成している。

アップルはソフト開発者に15~30%の手数料を課している。ソフト開発会社は世界でアプリを販売できるインフラが手っ取り早く得られる。だが、米大手ゲーム会社の経営者は「手数料はコンテンツ企業の経済合理性を完全に壊してしまう」と批判する。

2011年に訴えを起こした原告側は、第三者によるアプリ配信を認めないアップルの手法がアプリの価格を不当につり上げていると主張。反トラスト法に違反するとして、これまでの過大請求に伴う損害賠償などを求めている。

今回の訴訟では、米最高裁が1977年に示した「イリノイ・ブリック」と呼ばれる判例が適用されるかどうかに注目が集まった。「製品の直接の購入者だけが反トラスト法に基づいて賠償請求できる」との見解を示すもので、過去には米マイクロソフトのOS(基本ソフト)「ウィンドウズ」を巡る集団訴訟でも適用された。

アップルは訴訟で、消費者はソフトウエア開発者からアプリを購入しており、アップルはあくまで売買の仲介者にすぎないとの立場を主張した。アップルとは直接取引しないため、消費者は同社に対する反トラスト訴訟を起こせないというわけだ。

13日に米最高裁が示した判断では、9人の最高裁判事のうち5人が消費者に反トラスト法に基づく原告資格があると認めた。トランプ米大統領が18年秋に指名した保守派で知られるカバノー最高裁判事は13日に開示された裁判資料の中で「アップルの主張には合理性がなく、単に同種の訴訟を逃れようとしているだけだ」と批判した。

実際にアップルの手法が反トラスト法違反にあたるかどうかは、今後の裁判で争われることになる。ただライバルの米グーグルはスマートフォン(スマホ)向けOS「アンドロイド」上で、第三者によるアプリ配信を認めており、アップルの排他的な手法への風当たりが強まっていることは確かだ。

19年3月には音楽配信サービスで、アップルと競合するスポティファイ(スウェーデン)がアップルが市場支配的な地位を乱用しているとして、欧州連合(EU)の欧州委員会に苦情を申し立てた。アップルがソフト開発者に課している手数料が不当に高く、競争を阻害していると主張した。

アップルはアップストアで配信するアプリの審査も担っており、最近では親が子どものスマホ利用を制限する機能を持つ複数のアプリを削除している。アップルは「利用者のプライバシーとセキュリティーを危険にさらしたためだ」と説明するが、アプリ開発者の間では審査の透明性を求める声も根強い。

13日にはトランプ政権が中国への制裁関税の第4弾として、携帯電話など約3000億ドル(約33兆円)分の同国製品に最大25%の関税を課す計画を正式に表明した。全量を中国で組み立てているアップルのiPhoneも対象となる見込みで、同社株は13日に前日比6%安で取引を終えた。

アップルがハードウエア依存からの脱却を目指す上でも、アプリ配信を中心とするサービスの重みは増している。19年1~3月期のiPhoneの売上高は310億5100万ドルと、前年同期に比べて17%減少した。

一方で、音楽配信やクラウドサービスなどを含むサービス部門の売上高が全体の約20%を占め、粗利益ベースでは全体の3分の1を稼いだ。仮にアプリ配信市場における独占的な地位が崩れるようなら、業績への打撃は避けられない。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。