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スポーツは個性の解放なのに… 日本の部活なぜ村社会
ドーム社長 安田秀一

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2019/5/23 5:40
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米国の学生は複数のスポーツを掛け持ちするという(2019年3月、NCAAバスケットボール)=USA TODAY

米国の学生は複数のスポーツを掛け持ちするという(2019年3月、NCAAバスケットボール)=USA TODAY

米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏の連載コラム。今回は日本ではスポーツをする時と日常を過ごす時のファッションが異なるという調査結果から、運動部内だけで小さな世界をつくる日本独自のカルチャーに発想を広げます。米国の大学スポーツやビジネスに詳しい同氏によると、米国では運動部ごとの分断や対立はなく、選手それぞれが個性を発揮しています。

◇   ◇   ◇

もともと海外出張が多く、最近ではネットフリックスなどでより幅広い情報に触れることができ、海外の生活習慣やそれらが織りなす「地域の文化」に関して、改めて色々な気づきが芽生えています。また、そんな気づきをマーケットリサーチなどを通じて、データとして客観的に捉える活動も行っています。必然や好奇心から入った「文化人類学」みたいな世界と、ビジネスをくっつけていく作業です。

例えば、スポーツで汗を流す時とリラックスして日常を過ごす時の「身に着けるウエア」についてです。欧米、あるいは中国などでも同じリサーチ結果なのですが、彼らはジョギングやトレーニングをする時も、街を歩き回ったり、遊びに出かけたりする時も、同じようにスポーツウエアを着る人々が多くいます。一方、日本はスポーツをする時と、日常的に身につけるブランドやウエアに、明確な区別をつける傾向にあります。欧米では昔からスニーカーで出勤したり、女性であれば普段着としてレギンスを着用したりしますが、日本はきっちりとその場面によって着用するものが違う、というリサーチ結果です。いったいなぜでしょうか。

僕は自分の高校時代を思い出しました。僕はアメリカンフットボール部で、棚で仕切られた隣の部室はサッカー部でした。仲が悪いというか、互いに張り合って相手を見下す要素を探しあう関係でした。野球部やラグビー部との関係も似たようなもの、つまり自分の部活以外はみんな静かなる敵、そんな雰囲気でした。同じ運動部内でもそんな状態ですから、文化系の部活との分断具合はもう絶望的です。

みなさんも似たような経験を持っているのではないでしょうか。日本では学生の課外活動においても、自分たちの小さな世界(村)にこもって、自分の村の優位性を勝手にこしらえ、お互いを静かに見下し合うカルチャーが存在するように思います。スポーツをやらない人を静かに見下し、スポーツばかりやっている人を静かに見下す。リサーチの結果と自分の経験から、スポーツと生活が分断されているのは、この村社会文化が原因のように思えました。

■米国では互いをリスペクトする

米国の学生スポーツではアメフトやバスケットボール、野球、陸上などシーズンが決まっていて、1年を通じて1人が複数のスポーツをするのが普通です。アメフトと野球、などと掛け持ちでやっているから、競技ごとに「村」が出来るわけがないのです。

それだけでなく、前回(「日本の大学運動部は男性ばかり? 女性の成長機会奪う」)紹介したタイトルナインという法律もあり、学生スポーツには女子も大勢参画します。運動部の試合はマーチングバンドの彼らにとっても試合であって、運動部と文化部が一緒に活動する機会が多くあります。運動部と文化部を掛け持ちする学生がいることも自然です。結果的に分断、対立するのではなく、野球もアメフトも陸上も、男子も女子も、スポーツも音楽もダンスも、互いを認め合ってリスペクトする関係が成立しています。

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