ダイムラー、39年に乗用車のCO2排出実質ゼロに
【フランクフルト=深尾幸生】独ダイムラーは13日、2039年に発売する新車から、乗用車が出す二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」にすると発表した。途中経過として30年に新車の50%を電気自動車(EV)か充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)にする。ガソリンやディーゼルなどの化石燃料だけで走る車両からの脱却を鮮明にした。

22日にダイムラーの新社長に就任するオラ・ケレニウス取締役が、今後の20年間の方針として示した。カーボンニュートラルはEVとPHVに加え燃料電池車(FCV)を中心に達成する。電気モーターとエンジンを併用するPHVでも燃料は化石燃料に由来しない合成燃料で走れるようにする。
新車からのCO2削減をめぐっては、独フォルクスワーゲン(VW)が3月に50年のカーボンニュートラルを目指すと発表。トヨタ自動車は50年に10年比9割削減すると15年に発表していた。ダイムラーの計画はVW、トヨタと比べても野心的だ。
ダイムラーは今月、EV攻勢の第1弾となる多目的スポーツ車(SUV)「EQC」を発売したばかりだ。ガソリン・ディーゼル車主体からカーボンニュートラルへの移行は製品や生産体制の大規模な刷新をともない、長期にわたって利益が圧迫される可能性が高い。
20年という移行期間は自動車の開発サイクルで約3世代に相当する。ダイムラーの創業者にあたるカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーが自動車を発明してから約130年がたつ。ケレニウス氏はスピーチで「化石燃料が自動車業界を支配してきた年数を考えると、十分な時間があるとは言えない」と明かした。
欧州を中心に世界的に環境規制は強まる。ダイムラーなど欧州勢は欧州の21年のCO2排出規制の達成に苦労している。さらに30年には21年比で37.5%削減しなければならない。ケレニウス氏は「ぬるま湯から出る必要がある。この戦略は自動車業界を先導する地位で居続けるために必要だ」と強調した。
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