2019年9月20日(金)

東芝、外国人取締役3分の1に 物言う株主の影響強く

2019/5/14 0:18
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経営再建中の東芝は13日、取締役会の体制を大幅に見直すと発表した。12人の取締役のうち社外が10人で、全体の3分の1にあたる4人が投資会社トップなど外国人になる。巨額増資で東芝の株主になった海外ファンドから、社外取締役の入れ替えを求める声が相次いでいた。「物言う株主」の影響力が強まるなか、車谷暢昭・会長兼最高経営責任者(CEO)ら執行部のかじ取りは難しさを増しそうだ。

記者会見する東芝の車谷暢昭会長兼CEO(13日、東京都港区)

「新しい取締役の知見と刺激をいかし、危機から成長に入った東芝の歩みを着実なものにしていく」。東芝の車谷CEOは同日の記者会見で、新たな布陣の意義をこう強調した。従来は取締役12人のうち、社外取締役は7人でいずれも日本人だった。6月下旬の定時株主総会を経て、社外取締役は10人となり全体の8割を占めることになる。

うち4人は外国人だ。取締役に外国人を起用するのは1942年以来。米投資顧問ホライゾン・キネティクスのワイズマン広田綾子氏やイオン顧問のジェリー・ブラック氏らが加わる。グローバル展開やM&A(合併・買収)などの専門家をそろえ、再建と成長を両立させる狙いがある。LIXILグループ元社長の藤森義明氏も起用する。

これまでの取締役会は、2015年の不正会計など危機対応への布陣だった。西室泰三相談役(当時)らが招いた公認会計士の野田晃子氏らは退任する。一方、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光氏は留任し、取締役会議長として、執行部と新たな社外取締役との調整役を担うようだ。

今回、外国人を入れて社外取締役を増やすのは、17年12月の巨額増資を引き受けた海外ファンドなどの発言力が強まっているためだ。東芝株を5%超保有する米ファンドのキング・ストリート・キャピタル・マネージメントは「東芝が成長するにはM&A(合併・買収)などの知識を持った新たな取締役が必要」として、共同創業者であるブライアン・ヒギンス氏の社外取締役起用を要求。株主提案もちらつかせて、揺さぶりをかけていた。

東芝では当初、「いまだ保守的な東芝に外国人の社外取締役が入るのは尚早だ」(ある社外取締役)との声もあった。しかし、ほかの海外ファンドからも「不正会計問題などで加わった社外取締役には退任してもらい、成長戦略などを描ける外国人の専門家を入れるべきだ」(アジア系ファンド)との声が出ていた。

東芝はキング・ストリートから人事の株主提案が出てくれば、「株主との対立がクローズアップされ、劇場型の株主総会になりかねない」と警戒した。そこでキング・ストリートなどと水面下で人事案を協議。社外取締役の増員や外国人の起用に踏み切り、発言力の強いキング・ストリートのヒギンス氏の取締役起用を何とか回避した。

ひとまずファンドとは協調路線を歩む見通しだが順風とは言えない。業績が思うように回復しなければ、ファンドに近い社外取締役が車谷CEOら執行部への圧力を強める可能性が高い。

今も東芝の事業環境は厳しい。電子デバイス部門のシステムLSI(大規模集積回路)は中国の景気減速で営業赤字が続き、約350人の早期退職を実施することを決めた。海外原発建設事業からの撤退などを決めたが、収益が出せない事業も残っている。

東芝は水処理など強みの社会インフラ事業と、あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)などデジタル技術を組み合わせた業務効率化サービスを次の柱に据える。ただ売却した半導体メモリー事業に次ぐ収益源はまだ見いだせていないのが現状だ。

東芝は4月から中期経営計画をスタートさせ、24年3月期に連結営業利益で4000億円(19年3月期は354億円)という強気の目標を掲げる。業績を回復できなければ、1兆円を超す手元資金の使い道について、「さらなる自社株買いなどで株主還元した方が良い」(あるファンド)との声が外国人の社外取締役からも出る可能性もある。外国人の起用などで成長への布陣を整えた東芝だが、なお波乱含みと言えそうだ。

(志賀優一、野口和弘、山下晃)

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