球速「誤審」防ぐシステム ウォンツ、ナゴヤドームに

2019/5/13 19:57
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システム開発のウォンツ(名古屋市)は球速の計測の間違いをなくす新システムを開発した。カメラで撮った動画を解析し、速度を算出する。従来のシステムはスマートフォンなどが出す電波の影響を受けやすく、「誤審」が多発していた。3月にナゴヤドームに新システムを導入したところ測定ミスがなくなった。

コラージュ用

コラージュ用

球場の三塁側に設置するカメラが投手を撮影し、動画をコンピューターで解析する。ボールの軌跡を60分の1秒単位で割り出し、投手の手を離れてから捕手のミット、もしくは打者のバットに達するまでの時間と距離を測り、速度を導き出す。

卓球競技で使われている動画解析技術を応用した。プロ野球の球団が本拠地にする球場で同種のシステムが採用されるのは初という。

球速の計測は「スピードガン」と呼ぶ電波を利用したシステムを使用するのが一般的だ。スピードガンはスマホなどの無線通信の影響を受けやすく、周波数の似た電波が付近から出ると計測の精度が下がる。ここ数年で電波を出す機器が増えたこともあり、時速10キロメートル以上の誤差が出るケースもあった。

スピードガンを設置する場所は球場ごとに異なり、計測ミスを防ぐノウハウを共有するのは難しい。ナゴヤドームでは「1試合に平均3回ほど計測ミスが発生していた」(ウォンツ担当者)。電波を飛ばすにはレーザーで投手に照準を定める必要があるが、「昼間はレーザーが見えず非常に難しい」(同)という課題もあった。

ウォンツはスコアボードの点数を表示するシステムを手掛ける。ナゴヤドームから球速の測定ミスに関する相談を受け、新システムの開発を始めた。

球場ではプロの選手以外にもさまざまな人がボールを投げる。中日ドラゴンズなどが開催する「スピードボールコンテスト」では小学生らが球速を競う。軌跡が安定しないアマチュアの球速も正確に測定できるよう、ナゴヤドームで1年にわたり実験を繰り返した。

今後は老朽化した地方球場の改修などに合わせて新システムを売り込んでいく。導入費用は球場の状態によって異なるが、数百万円程度になる。システムの保守や点検はウォンツが請け負う。球場の要望に合わせて球種を自動判定する機能の追加も予定する。

ウォンツによると、ナゴヤドームを通して複数の球場から新システムに関する問い合わせがあったという。システムが全国に広がっていけば、今まで見逃されてきたような記録の掘り起こしにつながる。(植田寛之)

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