世界が認めた「邪道」(古今東西万博考)
1970年・大阪 UCCのコーヒー缶

関西タイムライン
2019/5/14 7:00
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自動販売機や駅売店の定番の「缶コーヒー」。普及のきっかけは、1970年の大阪万博だった。その前年、世界初の缶入りのコーヒーを開発したのが神戸市が本社のUCC上島珈琲だ。

UCCの缶コーヒーを飲む来場者(1970年の大阪万博会場)

UCCの缶コーヒーを飲む来場者(1970年の大阪万博会場)

当時、コーヒー飲料は瓶入りが多かった。ただ瓶は長く使うと破損したり、洗浄する手間がかかったりする課題があった。缶なら軽くでき、常温流通も可能になる。創業者の上島忠雄氏の発案で開発が始まった。

最大の難所は色味だった。コーヒーのエキスを長時間入れると、成分である「タンニン」と缶の鉄イオンが化学反応して、黒く変わる。これを防ぐために缶の内側に特殊なコーティングを施す技術を開発した。そして69年4月に「UCCミルクコーヒー」が誕生した。

営業マンは「世界初」を売り込もうと必死に駆け回った。ただ目に見えた効果はなく、当初は「邪道だと非難された」(UCCホールディングスの上島達司会長)という。そんな中、千載一遇のチャンスが大阪万博だった。

開幕4カ月前に大阪北支店を開設。会場内の飲食店などに売り込んだ。夜間にも備えた搬送態勢を整え、海外のパビリオンは100%を取引先にするなど成果を上げた。手軽に味わえると入場者らの人気を集めていった。UCCは直後に年商が100億円を突破。従業員は600人超となり、コーヒー業界での地位を築いた。

2019年4月、10世代目の缶コーヒーを発売したUCC。変わらぬ味で販売期間49年の長さは、缶コーヒーのロングセラー製品としてギネス世界記録に認定されている。上島会長は「大阪万博がなければ、缶コーヒーは広まらなかった」と笑う。

(沖永翔也)

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