富士通と電通が情報銀行の実証実験、グーグルのデータ活用
データの「持ち運び権」 消費者に提案

2019/5/13 17:00
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富士通電通は13日、個人データを預かり対価を提供する「情報銀行」の実証実験を8月に始めると発表した。米グーグルが保有する個人データを取り込み、対価としてその個人の関心と一致する情報を配信する。他社が保有する個人データを活用する実験は珍しい。実験を通じて企業が保有する個人データを消費者が移動できる「データ持ち運び権」を活用するメリットを提案する。

富士通は許可を得た消費者の予定情報を米グーグルの「グーグルカレンダー」から取得する。スマートフォン(スマホ)の専用アプリを介し、富士通のシステムにデータを取り込む。予定が入っていない時間帯に、その消費者の趣味や嗜好と一致するテレビ番組などのお勧め情報を配信する。5月中に200人のモニターを公募し、8月に試験を実施する。

情報銀行は政府などが作成した指針に基づく認定制度が始まり、実証実験に取り組む企業が増えている。ただ、他社が保有する個人データを活用する実験は珍しい。

欧州で2018年に施行された「一般データ保護規則(GDPR)」では、データ持ち運び権が消費者に認められた。グーグルなどの巨大IT企業を指す「GAFA」が個人データを寡占する状況に歯止めをかける目的だ。国内でも政府が同様の制度を検討している。持ち運び権を認められた消費者が自身の多様な個人データを情報銀行に預けるようになれば、自社保有のデータだけでは難しいサービスの開発も企業は可能になる見込みだ。

もっとも現状では、消費者側の情報銀行への反応は鈍い。総務省が17年に実施した「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」では、利用意向がある消費者は19.2%にとどまった。

富士通と電通は今回の実験を情報銀行や持ち運び権を消費者に認識してもらい、個人データを自身で活用してもらう機会と位置づける。実験の結果は20年にそれぞれ展開する情報銀行のサービスに生かす。

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