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ビデオ検証の裏で揺らぐ権威 審判は敵ではない
編集委員 篠山正幸

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2019/5/14 6:30
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野球に判定のトラブルはつきものだ。それをすっきり解決する手段の一つとして導入されたリクエスト制度だが、それがもとで起こるもめ事もあるからややこしい。審判の権威を守りつつ、判定の正確性を期すにはどうすればいいのか。課題は尽きないようだ。

4月21日の中日―ヤクルト戦(ナゴヤドーム)では飛球で飛び出した走者を刺したプレーについて、見ていない審判が判定を下したのではないか、という疑義が浮上。中日が説明を求めて意見書を提出する騒動となった。

離塁した走者が送球より早く帰塁したかどうかの判断で、一度はセーフと判定されたが、守備側の中日からのリクエストの結果、アウトとなった。会場のナゴヤドームのスクリーンで、このシーンが流され、のちの報道でも、当該審判が、いかにも「その瞬間」に別な方向を向いているようにみえる映像が繰り返された。

問題シーンの映像が「見せ物」に

それなりのわけがあっての審判の動きだったらしいが、一連の騒動のなかで、随分ずさんな判定もあったものだ、というイメージが拡散してしまった印象がある。

4月21日の中日―ヤクルト戦。5回、ヤクルト・上田の二飛で飛び出した二走雄平の帰塁の判定を巡り、抗議する中日・与田監督。セーフの判定がリプレー検証で覆った=共同

4月21日の中日―ヤクルト戦。5回、ヤクルト・上田の二飛で飛び出した二走雄平の帰塁の判定を巡り、抗議する中日・与田監督。セーフの判定がリプレー検証で覆った=共同

審判がみていたかどうかという問題と、リクエスト制度は何の関係もない。しかし、制度の導入によって、判定のいざこざを巡る映像が、球場という「現場」はもちろん、ニュースとして広範囲に、相当の期間にわたり、露出するようになったことは審判の権威を守るという点で、大きな懸念材料となることを示した。

ビデオ検証をいち早く取り入れた米メジャーリーグでは問題シーンの様々な角度からの映像を球場のスクリーンで流し、それ自体を一種のショーに仕立てた。お客を飽きさせないようにする狙いもあるが、審判としてはいたたまれない時間でもあるだろう。

本来、舞台裏で行われるべきことを「見せ物」にすることには当然ながら、代償が伴う。

5月4日の広島―巨人戦(マツダスタジアム)では本来許されないリクエストの検証結果に対する抗議をした、とされた広島・緒方孝市監督が退場処分となった。打者走者の菊池涼介が、一塁手との交錯を避けるために一塁ベースを踏みフェアゾーンでオーバーランする形になった。慌てて帰塁したがタッチアウトに。

二塁進塁の「色気」があってのオーバーランであれば、アウトもやむなしだが、広島ベンチからは衝突回避のための偶発的な出来事とみえた。

緒方監督が審判団に「二塁進塁の意思がなかったこと」の確認を求めたところ、リクエストを行使しては、との薦めがあったという。リクエストの結果もアウトのままだったため、再度説明を求めた行為が、「リクエストの結果に対する異議申し立て」と判断された。

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