2019年5月20日(月)

景気判断6年ぶりに「悪化」、一致指数、外需が低調

経済
2019/5/13 14:02 (2019/5/13 23:06更新)
保存
共有
印刷
その他

内閣府が13日発表した3月の景気動向指数からみた国内景気の基調判断は6年2カ月ぶりに「悪化」となった。外需の低迷で、生産や輸出が落ち込んだことが背景だ。政府として景気後退を認定したわけではないが、景気動向指数の定義上は後退局面にある可能性が高いことを示す。米中貿易摩擦が一段と激しくなれば、国内景気にはさらに下押し圧力がかかる。政府・与党は経済対策も視野に入れ始めている。

景気動向指数のうち、現状をあらわす一致指数の速報値は99.6となり、前月より0.9ポイント下がった。内閣府は同指数の3カ月単位の推移などから基調判断を機械的に「悪化」とし、1~2月の「下方への局面変化」から下方修正した。

一致指数が低下したのは、3月分の多くの経済指標が悪化したためだ。今回の景気動向指数の算出で使用した7指標のうち、5指標が指数を押し下げる要因になった。なかでも投資財出荷指数(輸送機械除く)が前月比2.3%低下し、最大の押し下げ要因だった。内閣府によると、半導体やフラットパネルの製造装置など資本財の出荷が落ち込んだという。

自動車など耐久消費財出荷指数や鉱工業生産指数も落ち込み、全体の重荷になった。米中の貿易摩擦による中国経済の減速で、アジア向け輸出が減って日本経済を下押ししている。貿易の低迷を反映し、商社を含む卸売業の商業販売額も低下が続いた。

内閣府が同日発表した数カ月先の景気の動きを示すとされる先行指数は前月比で2カ月ぶりに低下した。消費マインドをあらわす消費者態度指数などが悪化したことが背景だ。

過去に景気指数による判断が「悪化」となった局面はリーマン危機前後の2008年6月~09年4月と、欧州債務危機時の12年10月~13年1月の2回ある。いずれも専門家の研究会が事後的に判定した景気後退期と重なる期間が多い。

ただ内閣府が指数による景気判断の公表を始めたのは08年からだ。担当者は「サンプルが限られており、この結果だけで(景気後退期に入ったか)どうかは言えない」と説明した。

菅義偉官房長官は13日の記者会見で「雇用や所得など内需を支える(日本経済の)ファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」との認識を示した。10月に予定する消費増税への影響に関して「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、予定通り引き上げができるよう経済運営にしっかり取り組みたい」と強調した。

与党からは米中貿易摩擦などの影響で景気が一段と冷え込む場合は追加の経済対策を視野に入れるよう求める声が強まっている。消費税増税を控え、夏の参院選に景気動向が影響を与えかねないためだ。菅氏も経済対策について「状況に応じて様々な判断をするのは当然のことだ」と語った。

当面の焦点は政府が公式の景気認識を示す月例経済報告だ。5月分は20日に1~3月の国内総生産(GDP)を発表した後、間を空けずにまとめる見通しだ。月例経済報告での景気判断は日銀短観の業況判断や雇用、物価の動きなど様々な経済情勢を総合的に考慮する。

米中の貿易摩擦は景気のマイナス材料で、自動車の世界販売は慎重な見通しが多い。日本勢がセダンで強かった米国市場が停滞期に入り、アジアも中国景気の減速で成長ペースが鈍化している。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は13日の定例会見で、経済の先行きについて「あまりにも不確実な点が多い」と漏らした。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報