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桜の聖火トーチに職人魂 美しさ、軽さに技術結晶

2020年春から夏にかけて東京五輪・パラリンピックの聖火リレーが日本全国を巡る。走者が掲げる桜色のトーチは見た目の美しさや軽さ、強度を追求した技術の結晶だ。妥協を許さず衝突もいとわない職人魂が開発の原動力だった。

「これじゃ駄目だ」。デザイナーの吉岡徳仁さん(52)は東京・代官山の事務所で、メーカーの担当者が持ってきたトーチを突き返した。イメージ通りの輝きが出ていない。今年3月の完成発表を前に、色づけが難題として残っていた。

吉岡さんに駄目出しされたのは金属加工・販売のUACJ押出加工(東京)の熊沢朗・担当副課長(46)。工場でトーチを染色しては見せに行くが「ひどいときは2秒」で却下された。

東日本大震災で被災した福島県南相馬市の小学校を15年秋に慰問した吉岡さんは、2年生児童が描いた桜をヒントにトーチをデザインした。実際に作れる企業を探し、アルミ加工で高い技術を持つ同社に行き着いた。

熊沢さんはすぐ吉岡さんの厳しさに直面した。「どんどん要求水準が上がる」。17年11月ごろの試作品は重さ約1.5キロ。1年がかりで形状を研ぎ澄ませ、燃料などを除いて約700グラムにした。

バーナーの開発も難航した。豪雨と強風に耐える炎が条件。キャンプ用品を手掛ける新富士バーナー(愛知県豊川市)の山本宏開発部長(56)は直径7センチが小型化の限界と思ったが、吉岡さんは「3センチに」と言った。

炎の形など吉岡さんのこだわりは多く、18年末ごろにかけテレビ電話で連日激しくやり合った。山本さんは「戦いだった」と苦笑しつつ「ものづくりをする人間として、吉岡さんの執念に違和感はなかった」と言う。

トーチは3月の発表直前に完成。吉岡さんは「努力が何十年後かに思い出になるようなものにしたかった。いろいろな職人さんが関わってくれ、みんなが納得いくものができた」と話した。〔共同〕

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