2019年6月18日(火)

日立、営業益1兆円へ グローバルでIoT加速

ネット・IT
エレクトロニクス
2019/5/10 23:05
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日立製作所は10日、2021年度までの中期経営計画を発表した。連結営業利益で1兆円(18年度は7549億円)を目指す。M&A(合併・買収)などに最大2兆5000億円を投じて、あらゆるモノがネットにつながるIoTを強化する。デジタル時代に日立はさらに成長できるのか。新たな中計は試金石になる。

中期経営計画を発表する日立製作所の東原敏昭社長兼CEO(10日、東京都台東区)

「日立は稼ぐ力がついてきた。これからは社会イノベーションでグローバルのリーダーを目指す」。都内で会見した東原敏昭社長はこう強調した。18年度で約9兆4800億円だった連結売上高を年3%伸ばし、3年後に10兆円以上とする。8%の売上高営業利益率も10%超に引き上げる。実現すれば、前年度の利益率で同水準に並んだ独シーメンスを引き離す可能性がある。米IBMを追う体制も整う。

柱となるのがIoTだ。日立は16年から「ルマーダ」という名称でIoT事業を開始。顧客の工場のデータを分析して稼働率を高めたり、鉄道の運行で混雑に応じて自動的に列車の本数を変更できたりするのが特徴だ。

工場の自動化を背景に需要が増加し、ルマーダの売上高は1兆円規模になった。東原社長は「(担当部門から)3年後に売上高で1兆6000億円の目標が出てきたが2兆円にしようとハッパをかけている」と話した。

今後3年間でIoTやインフラ関連を中心に、M&Aなどの成長投資に2兆~2兆5000億円を投じる。この金額には18年12月に発表したスイスの重電大手ABBからの送配電システム買収(7000億円超)、4月に発表した生産システム事業の米JRオートメーションテクノロジーズ買収(1500億円超)を含む。IoTとの結びつきが強い事業をグループに取り込み、デジタルで稼ぐ会社に変身する。前回の中計で合計で約5000億円投じたが、資金を大幅に積み増す。

IoTなどへの投資で、日立は51%の海外売上高比率を6割超に引き上げる考えだ。現在の海外比率はシーメンス(8割台)やIBM(6割強)の方が高い。日立は海外で鉄道などを強化しているが、今後の柱となるIoTだけでみると海外は1割程度にとどまる。

成長投資でIoTなどを伸ばす一方、上場子会社の売却を含むグループ再編も進める。日立は08年度に7873億円の最終赤字を計上したが、その後の業績回復を担ってきたのが再編などの構造改革だからだ。

リーマン・ショック直後に19社あった上場子会社だが、日立工機や日立国際電気、クラリオンなどを売却し、日立物流日立キャピタルも連結対象から外した。今は4社(日立建機日立金属日立化成日立ハイテクノロジーズ)に減った。

足元ではグループで「御三家」といわれる日立化成の売却先の選定を進めている。東原社長は日立化成の売却については明言を避けたが、「あらゆる場面で(子会社などの)資本構成を見直していく」と述べた。日立は経営指標に投下資本利益率(ROIC)を採用、10%を目指す。国内外でグループ会社は約800社あり、資本を効率的に使えない企業は再編の対象になる可能性がある。

新たな中計ではIoTなどのデジタル分野へのシフトを鮮明にする。「ものづくり」中心の会社では欧米の競合と同じような利益率は確保できないとの危機感が強い。

時価総額でみると日立の約3.5兆円に対し、シーメンスは約11兆円、IBMは約13兆円。「業績回復で良い会社になった日立だが、事業の選択と集中では欧米勢に比べ取り組みが遅い」(証券アナリスト)との見方もある。新たな中計をいち早く軌道にのせ、市場での評価を高める必要がある。(井原敏宏、指宿伸一郎、志賀優一)

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