2019年6月17日(月)

レオパレス、深山社長退任を正式発表 問題収束見通せず、財務体質悪化が懸念

住建・不動産
2019/5/10 22:00
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賃貸アパート大手、レオパレス21は10日、創業一族の深山英世社長(61)が退任し、宮尾文也取締役常務執行役員(59)が昇格する人事を正式発表した。施工不良のアパート問題を巡る損失引当金などを計上し、2019年3月期は8年ぶりの連結最終赤字となった。問題の全容も明らかにならない中で財務体質は悪化しており、収束は見通せていない。

「施工物件で多数の不備が発生したことを深くおわび申し上げる」。同日開いた19年3月期決算発表の記者会見は深山社長の陳謝で始まった。「毀損した信用と業績の早期回復、経営体制の刷新を図るため代表取締役を退任することにした」と述べ、引責辞任であると認めた。深山社長は30日付で代表権のない取締役になる。6月下旬の定時株主総会以降の去就は明らかにしていない。

18年春に表面化した施工不良のアパート問題は調査が進むにつれて深刻化している。天井裏の界壁と呼ぶ部材が未設置だったことが発覚して調査を開始。当初は1990~2000年代に手がけたアパートが中心だったが、18年まで販売していた最新物件でも不備があったことが判明した。

施工不備で必要な補修工事を終えて「安全宣言」が出る見通しが立たない。3月末時点で調査が済んだ約2万棟のうち7割超の物件で不備が見つかった。調査は全物件の半数ほどしか済んでおらず、不備のある物件がさらに拡大する可能性がある。

こうした費用の計上などで19年3月期は最終損益が686億円の赤字(前の期は148億円の黒字)と過去2番目となる大幅な赤字となった。財務の安全性を示す自己資本比率は3月末に28%と、1年前から約20ポイント低下した。20年3月期の補修工事による追加の特別損失の計上は「考えていない」と説明するが、19年3月期には4度にわたり特別損失を計上した経緯があり、追加損失の可能性は否定できない。

3月末時点の現預金は845億円で、1年前と比べて220億円減少した。資金繰りについて宮尾氏は「問題ない」とし、他社の支援の可能性も否定した。入居率を上げることによる現金の確保や、投資の抑制、保有不動産の売却などを検討しているという。同社に融資するりそなホールディングス(HD)の東和浩社長は10日の決算発表会見で「入居者やオーナーの不安が無くなるようにしていただきたい。そのためのサポートはする」と述べた。

レオパレスは地主からアパート建築を受注し完成後に一括借り上げして転貸する「サブリース」の形式をとる。利益が出る「損益分岐入居率」は80%程度とみられ、この水準を割り込むと資金が流出する「逆ざや」に陥るとされる。3月の入居率は84.33%と過去1年間で約10ポイント低下した。10日夜に発表した4月の入居率は82.35%とさらに低下した。

同社は20年3月期に売上高は前期比1%減の5022億円、最終損益は1億円の黒字を見込む。不備のある物件で入居者の新規募集を停止しており、家賃収入が減る。通期の入居率を85.2%と見込むが、生命線の入居率が想定を下回る状況が続けば、経営環境は厳しくなりそうだ。

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