2019年6月25日(火)

ティッセンとタタ、欧州鉄鋼事業の統合白紙

環境エネ・素材
南西ア・オセアニア
ヨーロッパ
アジアBiz
2019/5/10 21:49
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【フランクフルト=深尾幸生】独ティッセン・クルップは10日、インドのタタ製鉄との鉄鋼事業の統合を白紙にすると発表した。欧州の鉄鋼メーカーは首位アルセロール・ミタルと2大陣営に集約されるはずだったが、欧州連合(EU)の欧州委員会による承認が得られない見通しになったため断念した。

ドイツ北西部のエッセンにあるティッセン・クルップ本社(2017年11月)=ロイター

ティッセンとタタは2017年9月にティッセンの鉄鋼事業とタタの欧州鉄鋼事業の統合で合意し、折半出資で共同出資会社をつくる正式契約を18年6月に結んでいた。両社は欧州2位と3位で、統合し株式市場への上場を目指す予定だった。

欧州委は、両社が統合すると競争が減り、鋼材の価格が上がることを懸念。ティッセンとタタは譲歩案を示したが欧州委は不十分としてさらなる事業の売却などを求めていた。両社はこれ以上譲歩すれば統合の効果が得られないと判断した。

中国の過剰生産に端を発する15年ごろの「鉄冷え」で傷んだティッセンとタタは、統合で収益力を強化しようとしていた。足元の欧州の鉄鋼市場は需要が弱くなっているうえ、再び域外からの鋼材の流入が増えている。

統合が白紙になったことで両社は対応を迫られる。ティッセンのグイド・ケルクホフ社長は全体で6千人の人員を削減する方針を示した。うち2千人が鉄鋼部門だ。ケルクホフ氏は電話会見で「欧州委の決定を遺憾に思う」と述べた。

タタ製鉄は07年に買収した旧英蘭コーラスの欧州事業の赤字が続き、不振の英国事業の売却を検討した。売却の代わりに欧州全体の事業を独社と統合し競争力を高める狙いだった。欧州だけでなく、東南アジアなど外国事業を統合や売却で切り離し、成長が見込めるインド国内に集中する姿勢を鮮明にしていた。タタ製鉄の株価は10日、前日比6%安の487ルピー台で引けた。

一方、ティッセンは鉄鋼部門を分離したのちに計画していた会社分割も取りやめる。エレベーターや自動車部品などからなる会社と、鉄鋼・ステンレスなどの素材商社部門と潜水艦部門からなる会社の2つに分かれる予定だった。分割中止の代わりに利益率の高いエレベーター部門を上場させる方針だ。

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