2019年8月23日(金)

民営化まで2年 広島空港、旅客500万人挑戦
(ウエーブ広島)

2019/5/13 6:30
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広島空港の民営化まで2年を切った。国は5月中にも運営事業者の募集要項を公表し、民間企業からの提案を審査する手続きに入る見通しだ。民営化の手続きが先行する他の空港で名乗りを上げてきた事業者や、地元企業の動きも慌ただしくなってきた。年間の航空旅客数を現在の約300万人から、官民組織が目標として定めた500万人までどう引き上げるか。事業者の間では課題と潜在力の洗い出しが進んでいる。

空港の民営化まで2年を切った

広島空港から広島市内まではリムジンバスで約50分かかる

「空港までの鉄道を敷かないとの方針には正直がっかりした」――。東京に本社を構え、民営化に向けた動きが先行する空港運営に名乗りを上げたとある企業の担当者はこう漏らした。

広島空港の民営化に向けた魅力作りなどを議論する官民組織「空港経営改革推進委員会」は昨秋、空港へのアクセス改善策をまとめた。その中で、JR白市駅(広島県東広島市)と空港を結ぶ鉄道といった「軌道系アクセス」を改善策に織り込まない方針を示し、提言書を県に提出した。

福岡空港などと比べると広島空港のアクセスは悪い。広島空港から広島市内まではリムジンバスで約50分。広島空港から白市駅まではバスで約15分、同駅から広島駅までは電車で約45分かかる。

東京駅から広島駅までは新幹線で約4時間だ。JRグループにとって岡山や広島エリアは、空路に対しての競争力の目安となる「4時間の壁」が立ちはだかる激戦区。「JRグループからしてみれば、空港までの鉄道を簡単に敷こうとはならない」(航空関係者)との見方も強い。

一方、「これからパイが増えるというのに、奪い合っている場合ではない」と話すのは広島空港ビルディングの山本健一社長だ。中国地方を訪れるインバウンド(訪日外国人)は年々増えており、「地域一体で新たな訪日需要を取り込む工夫がこれから必要になる」(山本社長)。

インバウンドの増加を足がかりにした広島空港の活性化に欠かせないのは、空港から観光地までを結ぶ二次交通の充実だ。広島市内にある広島バスセンターでは島根県出雲市や岡山市など周辺4県に加え、四国までの高速バスが発着している。一方、広島空港からは広島市、福山市、尾道市など広島県内の主要都市への運行にとどまっている。

広島県の空港振興課は民営化を契機に「空港にバスセンターのような機能ができれば」と期待を込める。足元の航空旅客数の約7割は広島―羽田だ。広島市内のみならず中四国の主要観光地へのアクセスが空港からバス一本で結ばれれば、東京から地方観光に向かうインバウンドをひき付けられる公算もある。

民間委託の事業期間は最長35年。どういった陣営が運営権の取得に名乗りを上げるか、どの企業が地元連合と一緒になるか――。募集要項の公表を前にこうした議論が活発になりつつある。

ただ、「どういう戦略で航空旅客数を500万人にするかの議論はあまり聞こえない」(県幹部)との声もある。夏ごろから始まる1次審査に向け、各事業者の提案に注目が集まりそうだ。(田口翔一朗)

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