東洋英和女学院、院長を懲戒解雇 著書でねつ造と盗用
東洋英和女学院(東京・港)は10日、深井智朗院長(54)の著書などの内容に極めて悪質な捏造(ねつぞう)や盗用があり、同日付で院長と東洋英和女学院大教授の職について懲戒解雇したと発表した。著書で取り上げた人物とその論文はいずれも実在せず、捏造と認定した。

院長は同学院の教育・研究の最高責任者。増渕稔理事長は10日、記者会見し「誠に適切でない人物を院長に選んだ責任を重く受け止め、将来に向けた反省として刻みたい」と謝罪した。
同大の調査委員会によると、著書は2012年刊行の「ヴァイマールの聖なる政治的精神」(岩波書店)。神学者「カール・レーフラー」とその論文に触れているが、この人物の実在を裏付ける資料はなかった。
著書中の記述の10カ所は他の日本語文献からの盗用と認定。15年に岩波書店の雑誌「図書」に発表した論考の根拠資料も無関係のものだったと判断した。
調査委の聞き取りに対し、深井氏は内容の誤りは認めているが、意図的な不正は否定しているという。
18年10月、キリスト教関係者向けの新聞に疑義を指摘する記事が掲載され、同大が調査委を設置した。ドイツ思想史などが専門の深井氏は16年4月に同大教授となり、17年10月から院長。「プロテスタンティズム」(中公新書)が18年の読売・吉野作造賞を受賞した。