2019年6月16日(日)

子連れ戻し迅速に 国際離婚のトラブルに対応、ハーグ条約対応法が成立

政治
2019/5/10 11:50
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国際結婚の破綻で一方の親が母国に連れ帰った子供を元の国に迅速に連れ戻せるようにする改正民事執行法や改正ハーグ条約実施法が10日の参院本会議で可決、成立した。ハーグ条約が定める国境を越えて子供を連れ戻す「強制執行」の手続きの実効性を高め、国際離婚を巡るトラブルなどに対応する。

現行の民事執行法には子供の引き渡しに関する規定がない。連れ去った親が引き渡しに応じない場合は制裁金などを科して促す手続きなどが必要だった。今後は親に制裁金を科しても引き渡しに応じる見込みがなかったり、虐待や育児放棄などで子供に危険が迫っていたりする場合はすぐ引き渡せるようになる。

これまでは子供の引き渡しにも子供と同居する親が立ち会うことが前提で、親が引き渡しを拒んだり行方不明だったりすると引き渡せないといった問題があった。法改正により、引き渡しを命じられた親が現場にいなくても、引き取る側の親が裁判所の執行官と共に子供のところに行って強制的に連れ戻せるようになる。

もともと子供がいた国に迅速に引き渡したうえで当事者間の話し合いや裁判でその後、子供が育つ環境を決める。

同居している親から引き離されることで精神的なショックを受ける可能性もある。改正法には「子の心身に有害な影響を及ぼさないよう、配慮しなければいけない」との規定も盛り込んだ。

裁判で命じられた養育費や賠償金の不払いに歯止めをかけるための裁判所による照会制度もつくる。民事裁判で支払い義務が確定した子供の養育費を支払わない債務者の財産などを差し押さえやすくする。

日本はハーグ条約に2014年に加盟した。最近では国際離婚した日本人女性が海外から子供を連れて帰国する事例が増加。ハーグ条約に基づく効果的な子の連れ戻し策がとられていないという国際的な批判もあった。子供を迅速に連れ戻す制度づくりが必要となっていた。

制裁金などを科す手続きを経なくても強制執行ができるようになり、子供連れ戻しの手続きの実効性は高まる。専門家からは、子供の居場所が特定できない場合などには連れ戻しそのものが難しいといった課題も残るとの指摘もある。

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