マイクロソフト「大型買い物リスト」から見える戦略

CBインサイツ
2019/5/13 2:00
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CBINSIGHTS
 かつて半導体大手インテルとの「ウィンテル連合」でパソコン業界を牛耳った米マイクロソフト(MS)。その買収の履歴を見れば、彼らがM&A(合併・買収)によって「ソフトウエアの会社」からの脱却を進めてきたことが分かる。買収金額の上位3案件はSNS(交流サイト)、チャット、ソースコード運営と本業だったパソコン用ソフトウエアからはやや距離がある事業ばかり。ノキアからの携帯事業買収など明らかな失敗も経験しつつ、M&Aを駆使してしたたかに業容を拡大してきた。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

MSは1987年7月、ソフトウエア開発の米フォアソートを現金1400万ドルで買収した。フォアソートの主力製品だったプレゼンテーションソフト「パワーポイント」はMSの業務ソフト「オフィス」にまとめられ、MSとパワーポイントはプレゼンソフト市場を支配した。

これは今までで最も効果的な買収の一つだと評価する声もある。それ以降、MSが買収した企業は250社を超える。どの企業に最も多額の資金を払ったのだろうか。CBインサイツのM&Aデータを活用し、MSによる大型買収の上位10件のビジュアル年表を作成した。

■マイクロソフトの大型買収上位10件

MSによる87年以降の大型買収上位10件は以下の通りだ。なお、MSの大型買収上位10件の買収総額は630億ドルを上回る。これはMSの現在の時価総額の約7%にあたる。上位10社の企業評価額はいずれも10億ドルを上回っていた。

1.ビジネス向けSNSの米リンクトイン(買収額262億ドル、2016年):現時点では、MSによる最大の買収だ。

2.スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク、85億ドル、11年):動画チャットやインターネット通話サービスを手がけていた。

3.米ギットハブ(75億ドル、18年):ソフトウエアのもとになるソースコードの運営プラットフォーム。買収額は当時、ベンチャーキャピタルの出資を受け、法人向けソフトウエアを手掛ける企業としては過去最大だった。その後、欧州ソフトウエア最大手の独SAPがオンライン調査支援ツールを手がける米クアルトリクスを80億ドルで買収し、ギットハブの買収額を上回った。

4.ノキア(フィンランド)のデバイス・サービス部門(72億ドル、14年):MSは14年の買収から2年足らずでこの事業を手放した。この試みは失敗だったと公言し、MSの携帯電話事業のリストラに踏み切る方針を示唆した。

5.米アクアンティブ(63億ドル、07年):米アベニューA、米アイフロンティア、英アトラスDMTなどのデジタルマーケティング企業やテクノロジー企業を傘下に抱えていた。

6.モージャン(スウェーデン、25億ドル、14年):人気オンラインゲーム「マインクラフト」の開発を手掛ける。マインクラフトはパソコンやゲーム機など向けに様々なバージョンがリリースされ、累計販売数は1億4400万本以上と「テトリス」に次ぐ過去2番目の売り上げを誇る。

7.米ビジオ(14億ドル、99年):米ワシントン州シアトルに拠点を置くソフトウエア会社で、主力製品は作図ソフトウエア「ビジオ」だった。MSに買収されて以来、この部門は「マイクロソフトビジオ」の名でこのアプリの開発を続けている。

8.ナビジョン(デンマーク、13億ドル、02年):中小企業向けに一連の会計アプリを提供していた。

9.米ヤマー(12億ドル、12年):メッセージが不特定多数に公開されないビジネス用SNSとして、アイデアの共有やプロジェクトでの協力、質問、フィードバックの要請などに使われた。

10.ファストサーチ&トランスファ(ノルウェー、12億ドル、08年):企業検索向けソフトウエアの開発を手がけていた。現在はマイクロソフト・デベロップメントセンター・ノルウェーと呼ばれる。

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