社会課題解決の人材育成 長崎で活発、起業家の孫氏や長崎大

2019/5/10 7:00
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長崎県で人口減などの社会課題に対応できる人材を育成する動きが広がっている。起業家の孫泰蔵氏が長崎市で2019年をメドに課題解決プログラムを立ち上げるほか、長崎大学は20年にも産官学で洋上風力発電の技術者育成機関を設ける。定型業務を自動化する「RPA」ソフトの教育も始まった。

孫泰蔵氏はすべて自己資金で投資事業を手掛ける

五島列島沖にある浮体式の洋上風力発電を利用して人材を育成する

「長崎は社会課題を多く抱えた地域。解決したいと考えている人たちが世界中から集まる場にしたい」。スタートアップ支援のミスルトウ(東京・千代田)を率いる孫氏は人材育成への意欲をこう明かす。

ミスルトウは老舗料亭「春海」の跡地(長崎市)を利用し、教育コミュニティー「GEUDA(ギウーダ)」を設立。19年冬までに開業を目指す。初年度約100人を募集する。会社員や学生、自治体職員など幅広い人材が対象で、参加費は無料。

講師による座学といったカリキュラムはなく、地域の課題解決に取り組むプロジェクトを立ち上げる。詳細は今後詰めるが「行政におけるAI(人工知能)の役割」や「IT(情報技術)を使った次世代漁業」などのテーマを検討する。

1案件10人前後で、20ほどのプロジェクトを実施する計画。春海跡地は会議やプレゼンの場として利用し、ワークショップも定期開催する。参加者はミスルトウに参画する著名ビジネスマンや起業家、デザイナーから助言も受けられる。

起業する場合はミスルトウが出資する可能性もある。長崎県内の自治体や企業、団体から解決してほしい課題を募ることも検討する。ただミスルトウの熊崎隆人氏は「プレゼンでは厳しい指摘を受ける場合もある。真剣に取り組まないと脱落してしまう」と強調する。

長崎の産学官が開発に力を入れている洋上風力発電の人材育成の動きもある。AIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など先端技術を学ぶ学部を20年に新設する長崎大に、地元の産学官や日本財団が共同で5億円を投じ、同大内に「海洋開発人材育成・フィールドセンター(仮称)」を20年にも設置する。

研究開発や保守管理を担う人材を5年間で750人育てる。長崎県五島市にある洋上風力発電設備やVR(仮想現実)技術を活用する。

RPAが活用できる人材の育成では、3月に長崎RPA協議会(長崎市)が発足。RPA大手のRPAテクノロジーズ(東京・港)の大角暢之社長や保険販売の松本(長崎市)の松本博社長らが発起人となり23企業・団体が会員となった。

4月から「長崎RPA学習塾」を開講し、約20人が受講している。3カ月間、基礎知識から実際に自分でソフトを構築して運用できるまで指導する。初年度80人を育成する計画。松本氏は「RPA習得に高度な知識は必要ない。導入できれば中小企業でも効果が大きい」と話す。

長崎県は若年層の流出が続き、人口減が九州で最も早いペースで進む。「高度な人材を育成し、産業活性化や起業の機運を高めることが必要」(日銀の平家達史長崎支店長)との指摘が出ている。(古宇田光敏)

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