2019年6月19日(水)

千代田化工を管理下に 三菱商事、3度目の支援

環境エネ・素材
2019/5/9 21:00
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三菱商事は9日、2019年3月末に債務超過に陥った千代田化工建設を三菱UFJ銀行と共同で支援し、総額1800億円を投融資すると発表した。三菱商事が千代田化工を支援するのは3度目。今回は経営幹部ら30人規模の人材も送る。プラントが巨大化し、受注時に採算性を見極めるのが難しくなる中、三菱商事の管理下で千代田化工は再生できるのか。

千代田化工が実施する第三者割当増資を三菱商事が引き受け、700億円の優先株を取得すると同時に900億円融資する。三菱UFJ銀行も200億円融資して、19年3月末時点で592億円の債務超過となった千代田化工の財務体質の改善を進める。

「資金も人材も出す。決めた以上は(再建の)実現性に自信を持っている」。9日に記者会見を開いた垣内威彦社長には緊張感がみなぎっていた。「もう少し踏み込んで対応しておけばこういうことにはならなかった。真摯に反省しないといけない」(増一行最高財務責任者、CFO)との声が社内であるためだ。

そのため三菱商事から17年に派遣された千代田化工の山東理二社長兼最高経営責任者(CEO)は社長兼最高執行責任者(COO)に降格する。千代田化工出身の取締役の多くは退任させる。三菱商事出身の大河一司・元機械CEOを千代田化工の会長兼CEOにあて、トップ2人を出身者で固める。7月までに送る人員は総勢27人になる。

この20年で3度目となった三菱商事よる支援の最初は、千代田化工が海外プラントの採算割れで低迷した1990年代後半だった。米国のプラント大手とともに支援し、出資比率は10%を超えた。一時は回復するが10年もたたないうちにまた低迷し、08年にも危機に陥る。追加支援で比率は3割強に高まった。それでも取締役の派遣にとどまり、社長を送り込まず、株主としての監視が行き届かなかった。

今回の支援スキームは議決権がない優先株への出資のため三菱商事は千代田化工を子会社化しない方針だ。巨額損失が出やすいプラント会社を子会社化すると、会計上の影響が大きい。優先株は普通株よりも早く発行できるため再建スピードを早める狙いがある。ただ、本格的に再建に取り組むなら、子会社化した方が千代田化工の経営をより掌握できるとの見方もある。

三菱グループといえど盤石ではない。例えば、今回の危機では千代田化工は当初、三菱重工業に支援を要請したが、同社も開発遅れが続く国産ジェット旅客機「MRJ」などの懸案を多く抱え、断った。液化天然ガス(LNG)のビジネスを世界で手がける三菱商事が相乗効果も見込んで最終的に引き受けることになった。

今後は、世界で需要が増えるLNGプラントの輸出などを増やし、再建を目指す考えだ。ただ、プラントが巨大化し、工事の工程把握などが難しくなる中で、きちんと受注を選別できるかにはリスクも伴う。

三菱商事も00年代は資源などに投資する「事業投資型」が中心だったが、投資先に主体的に関与して成長を促す「事業経営型」へとビジネスモデルを変えようとしつつある。3度も支援を受けた千代田化工の姿をみて、困ったら頼れると感じる三菱商事の出資先があってもおかしくない。

投資や経営関与の線引きを今後どう判断していくのか。「三度目の正直」で千代田化工を再建できるかは、三菱商事がグループ経営の規律をどこに置くかにかかっていると言えそうだ。

(世瀬周一郎、杉浦雄大)

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