村上春樹さん、従軍経験ある父との葛藤をエッセーに

文化往来
2019/5/10 5:00
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父親の戦争体験は作品に大きな影響を与えている(2018年11月、早稲田大学での記者会見に出席した村上春樹さん)

父親の戦争体験は作品に大きな影響を与えている(2018年11月、早稲田大学での記者会見に出席した村上春樹さん)

「ノルウェイの森」など数々の世界的ベストセラー作品で知られる作家の村上春樹さんが、今までほとんど語ることのなかった自らのルーツについてのエッセーを執筆した。日中戦争で過酷な体験をした父親との交流や葛藤など、小説創作の源泉ともいえる思い出をつづっている。10日発売の月刊誌「文芸春秋」に掲載される。

エッセー「猫を棄(す)てる」は、村上さんが兵庫県西宮市で両親と過ごした幼い日々を振り返る内容。中国兵捕虜の処刑を目の当たりにした経験を打ち明け、毎朝お経を唱えて戦死者を弔う父親の心の傷を「自らの一部として引き受けなければならない」と書く。学業優秀だった父の期待に沿えず、親子の間に次第に深い溝ができたことも率直に述べている。

自らの家族の歴史について村上さんはこれまで、2009年のエルサレム賞受賞のスピーチなどで断片的に触れるにとどまっていた。昭和の戦争は作品の重要なテーマとなっている。

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