丸紅、「次世代事業」に2000億円投資 3年間利益度外視

丸紅は9日、将来大化けする可能性がある新規ビジネスに今後3年間で2千億円を投資すると発表した。従業員100人からなる専属部署を4月に設立した。2030年をメドに利益貢献できるようにする。同日決算発表に臨んだ柿木真澄社長は「この3年間は何も利益に貢献しなくてもいい。やるからには真剣にやる」と強調した。
今期から22年3月期までの中期経営計画で投資する9千億円のうち、2千億円を現状取り組めていない成長領域に投じる。次世代通信規格「5G」関連、分散型電源、都市のスマート化、ヘルスケア、フィンテック、教育などを想定する。
地域では今後爆発的に中間所得層が増えるとみられるアジア、アフリカなどを重点的に攻略する。
丸紅は4月、次世代ビジネスを担う人材として若手からマネジメント層まで100人の社員を集め、「次世代事業開発本部」を立ち上げた。柿木社長は「10人、20人のインキュベーション組織ではダメ」と強調。外部から技術人材も登用するなどして、既存の営業本部とは異なる新ビジネスへの専任部隊を組織しているという。
背景には急速なデジタル化や技術革新への危機感がある。「従来の商品をベースとした事業では座礁した船のように身動きが取れなくなり、陳腐化するリスクがある」(柿木社長)といい、10年先の成長に先手を打つ。
新中期計画では22年3月期の純利益目標を足元から3割増の3千億円とした。ただ、このうち、2千億円の新規事業投資による利益は含んでいない。丸紅は昨年度、勤務時間の15%を担当事業から離れて新事業創出に充てられる制度を設けるなど、新たなビジネスを生み出しやすい環境作りも進めている。
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