テルモの19年3月期、純利益13%減 研究開発費が増加
テルモが9日発表した2019年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比13%減の794億円だった。前の期に米国の法人減税で一時的に利益が押し上げられた反動が出た。カテーテル(医療用細管)などの研究開発費が増加したことも重荷になった。
売上高は2%増の5994億円、営業利益は2%減の1066億円だった。製薬会社向けの注射剤の受託製造や点滴関連製品などを手がけるホスピタル事業が伸びた。受託製造は大型のリウマチ薬の後発品向けが好調だった。
カテーテルは愛鷹工場(静岡県富士宮市)で18年5月に一部製品の出荷を停止したが、10月以降に正常化。通期では心臓血管事業全体で増収を確保した。「少なくとも国内では出荷遅延によるシェアの喪失はない」(北畠一明常務執行役員)という。
同日発表した20年3月期の業績見通しは売上高が前期比6%増の6350億円、純利益が2%増の810億円。カテーテルの出荷遅延が解消し、心臓血管事業は9%の増収となる。新製品の拡販に向けた費用を積み増すほか、国内で10月に医療機器の公定価格が引き下げられるため、増益幅は小幅にとどまる。