武田、事業の選択を開始 シャイアーの眼科薬をノバルティスに売却
武田薬品工業はアイルランドの製薬大手シャイアー買収によって拡大した事業領域の再編に乗り出した。第1弾として9日に、シャイアーの医療用眼科薬をスイスのノバルティスに最大53億ドル(約5800億円)で売却すると発表した。武田はシャイアー買収で膨らんだ有利子負債の返済を急ぐ方向で、事業の選択と集中を加速させる。
武田はがん、中枢神経、消化器系疾患、ワクチンを中核事業としてきた。シャイアー買収で新たに希少疾患と血液製剤が加わり、今後は6つの分野で成長する戦略を打ち出している。一方で、シャイアー買収により純有利子負債は約5兆4000億円に増大。財務体質の早期改善に向けて、戦略6分野以外で最大100億ドル規模の資産を売却する方針を打ち出していた。
今回、ノバルティスに売却するのはシャイアーが持っていたドライアイ治療薬「シードラ」。武田にとってシャイアー関連の資産売却の第1弾となる。ドライアイは日本人には少ない目の病気だが欧米では患者数が多い。2018年に世界で3億8800万ドル(約420億円)を売り上げている。
欧米ではドライアイの市場が拡大しており、シードラはピーク時で1000億円を超える売り上げが見込まれる。ノバルティスは医療用眼科薬の開発を強化しており、シードラを製品のラインアップに加えることで眼科薬市場のシェア拡大を狙う。
また武田が販売してきた手術用のパッチ剤「タコシル」も米ジョンソン・エンド・ジョンソンの手術用機器子会社エチコン社に4億ドル(約440億円)で売却することも併せて発表した。シードラとタコシルの売却手続き完了は2019年後半を予定している。
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