2019年5月27日(月)

ディズニー、「アベンジャーズ」首位目前 興行収入

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北米
2019/5/9 11:49
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【シアトル=佐藤浩実】米ウォルト・ディズニーが歴史を塗り替えようとしている。4月末に公開した映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の世界興行収入は過去最速で20億ドル(約2200億円)を突破。早ければ今週末にも「アバター」を抜いて歴代首位に躍り出る。21世紀フォックスを買収し、興行収入トップ5全作品に関わるディズニー。力を入れている動画配信事業との相乗効果を生み出せるかが問われる。

映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の興行収入は公開11日で20億ドルを突破した(米シアトルの映画館)

「まずはアベンジャーズ/エンドゲームの驚異的な成功の話をしよう。今日までに約23億ドルの興行収入を得て、たった2週間で歴代2位につけた」。8日に開いた1~3月期決算の発表会見の冒頭、ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は満足そうに語った。売上高が前年同期比3%増の149億ドル、営業利益が同10%減の38億ドルだったこの四半期の業績には直接関係しないが、今のディズニーにとってはより重要な話題だ。

傘下のマーベル・スタジオが製作し、2012年から続くアベンジャーズシリーズの完結編となるエンドゲーム。アイアンマンやキャプテン・アメリカといったヒーローが勢ぞろいする同作品は、公開から5日間で興行収入10億ドル、11日間で20億ドルの大台に乗せた。米国だけでなく日本や中国の映画館も多くの観客で賑わい、09年公開のアバターが記録した27億9千万ドルを超える日は近い。

しかも、射程圏内に入ったアバターを配給していたのは、3月下旬に買収手続きを終えた21世紀フォックスの映画部門だ。エンドゲームの絶好調な滑り出しにより、興行収入の歴代トップ5すべてにディズニーが関わっている格好になった。

アイガー氏のもくろみはこれらの資産と人気コンテンツを生み出す力を駆使して、メディアを取り巻く荒波を乗り越えることだ。1~3月期、売上高で全体の37%を占めるテレビ放送事業は横ばいだった。ネットフリックスのような動画配信サービスが浸透するなかで、今後も伸びる見込みは乏しい。米IT(情報技術)大手が主導する動画配信のうねりは、映画館からも人々を遠ざけつつある。

そこでディズニーが選んだのが、みずから動画配信事業に乗り出し、映画やテーマパークとの相乗効果を出すという戦い方だ。米国を皮切りに11月から順次、「ディズニー+(プラス)」と呼ぶサービスを始める。アイガー氏は決算会見で「エンドゲームも12月11日からディズニープラスで配信する」と明かし、新サービスの目玉のひとつにする考えを示した。

もっとも、この戦略はもろ刃の剣だ。米BTIGのリチャード・グリーンフィールド氏は、ディズニーがDVDの販売や「iTunes」などを介したダウンロード販売で得てきた収益を年17億ドル程度と推計。動画配信の開始によって「今後5年間で劇的に落ち込むだろう」と指摘する。映画の公開と動画を配信する時期などの設定をあやまれば、映画を観に行かずに動画配信を待つ人を増やして「共食い」を招く可能性さえある。

1~3月期決算には買収完了後の11日間、売り上げにして約3億7300万ドル分だけ計上された21世紀フォックスの事業も、4月以降は全面的に加わる。映画、動画配信、テレビ放送、テーマパーク……。複雑さを増すコンテンツ帝国の舵(かじ)をどう取るか。アベンジャーズはエンドゲーム(最終戦)を迎えたが、ディズニーの物語は新たなシリーズへと突入する。

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