武田、ドライアイ薬を売却 ノバルティスに最大5800億円
武田薬品工業は9日、眼科用治療薬「シードラ」の事業を、スイスのノバルティスに最大53億ドル(約5800億円)で売却すると発表した。シードラは武田が買収したシャイアーが保有するドライアイの治療薬。武田はがんや希少疾患などを中核領域とし、それ以外の領域では事業売却を進める方針だ。シャイアー買収で膨らんだ有利子負債の返済に充てる。
ノバルティスに売却するのはシャイアーが販売してきたドライアイ治療薬。2018年には世界で3億8800万ドルを売り上げている。製品のほか、米国とカナダを拠点とする従業員400人もノバルティスに移籍する予定だ。
武田はノバルティスから34億ドルの一時金を受け取るとともに、販売額に応じた収益として追加で最大19億ドルを受け取る。売却完了は19年後半を見込んでいる。
このほか、武田が販売してきた手術用のパッチ剤「タコシル」について、米ジョンソン・エンド・ジョンソンの手術用機器子会社であるエチコン社に4億ドルで売却すると発表した。ドライアイ治療薬と同じく、武田にとって非中核事業となるため、切り離すことを決めた。
武田はがん、中枢神経、消化器系疾患の3領域とワクチンを中核事業としてきた。今回、シャイアーの買収で得た希少疾患と血液製剤を含め、6分野を新たに中核事業として位置づけている。
武田は今年1月にシャイアーを約6兆2000億円で買収。新株発行と現金による買収で、純有利子負債も約5兆4000億円まで膨らんだ。有利子負債の削減に向けて最大100億ドル(1兆1000億円)規模の資産売却を予定していると公表済み。今後も非中核事業の切り離しを進めるとみられる。
9日の東京株式市場では武田株が一時、前日比134円(3%)高の4253円まで上昇した。眼科用治療薬などの売却に伴い、シャイアー買収で膨らんだ財務の負担が軽減されることを好感した投資家の買いが入った。
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