米中、瀬戸際の応酬 トランプ氏「中国が約束破った」
中国も対抗措置示唆

2019/5/9 10:20 (2019/5/9 12:45更新)
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【ワシントン=鳳山太成、北京=原田逸策】トランプ米大統領は8日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げる方針を巡り「中国が約束を破ったからだ」と批判した。米通商代表部(USTR)は同日に関税上げを正式に通知し、中国も対抗措置を取る方針を表明した。実際に関税の応酬に突入するかどうかは9日から始まる閣僚級協議が焦点になる。

トランプ氏は南部フロリダ州で開いた選挙集会で「ちょうど対中関税の引き上げを公表したところだ。中国が米国の労働者からだまし取ったり、雇用を奪ったりするのをやめるまで取り下げるつもりはない」と述べ、強硬姿勢を鮮明にした。5日にツイッターで関税上げを表明して以降、公の場で語ったのは初めて。

トランプ氏は「中国は取引ができないので(関税を)払うだろう。もし合意できなければ、年1千億ドル超の関税を手に入れることは悪くない」と語った。関税を主に払うのは米国の企業や消費者だが、トランプ氏は中国が負担していると有権者に説明する。習近平(シー・ジンピン)国家主席を「友人の一人」と呼びつつも、知的財産侵害など中国の不公正な貿易慣行も改めて糾弾した。

USTRによると、9日夕からワシントンで閣僚級の協議を開く。トランプ氏は交渉責任者を務める中国の劉鶴副首相を「いい人」と言及。先行きに関しては「何が起ころうとも心配しなくていい。うまくいくだろう」と呼びかけた。サンダース大統領報道官は8日、記者団に「中国が取引をしたがっているという兆候がある。我々は交渉中だ」と含みを持たせた。

8日、演説するトランプ大統領=ロイター

8日、演説するトランプ大統領=ロイター

関税の引き上げは10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に設定した。米国が2018年9月に「第3弾」として発動した家電や家具など約6千品目が対象だ。官報で「中国が直近の交渉で、以前に合意した特定の約束から後退することを選んだ」と指摘した。10日に入るまでに官報の通知を修正すれば、関税上げを先送りすることは実務的に可能だ。

一方、中国商務省は8日夜に「もし米国が追加関税の措置を取るならば、中国は必要な反撃措置を取らざるを得ない」との声明を発表した。米国が関税を引き上げた場合、中国も米国製品600億ドル分への追加関税を引き上げるとみられる。

中国共産党系の新聞で強硬な主張で知られる環球時報は9日の社説で「米中は『休戦して交渉』から『一方で戦い一方で交渉』の状態に移行する心の準備ができている」と指摘し、貿易戦争がエスカレートする可能性が高いとの見方を示した。そのうえで「中国はすでに様々な準備をした」と対応に自信をみせた。

米中が補助金問題などで主張が食い違うことには「米国の特権にもとづく不当な要求だ」と米国の要求をはねつけるのは当然との見方を示した。

トランプ氏は5日、第3弾の関税引き上げを表明するとともに、残りの輸入品すべてにも25%の関税を「速やか」に発動すると言及した。USTRは「第4弾」に関しても官報で近く通知する方針だ。産業界から意見を募る必要があるため実際の発動まで2カ月以上かかるのが通例だが、公告を出せば中国への強力な圧力になる。

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