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ソフトバンク、ヤフーを子会社に 通信依存脱却狙う

ネット・IT
2019/5/8 22:23
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ソフトバンクグループ(SBG)の国内通信子会社ソフトバンク(SB)が成長戦略の転換を迫られている。主力の通信事業は携帯料金の値下げで逆風が吹くなか、兄弟会社のヤフーを4565億円で子会社化すると発表した。非通信分野の出遅れを挽回する。現金の稼ぎ手としてグループの孝行息子だったSBの変調は、SBGの全体の成長戦略に影を落とす可能性もある。

ヤフーを連結子会社化すると発表し、握手するソフトバンクの宮内謙社長(左)とヤフーの川辺健太郎社長(8日、東京都港区)

ヤフーを連結子会社化すると発表し、握手するソフトバンクの宮内謙社長(左)とヤフーの川辺健太郎社長(8日、東京都港区)

8日に発表したSBの2019年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高で前の期比5%増の3兆7463億円、営業利益で13%増の7194億円だった。宮内謙社長は記者会見で「全ての数字で前年を上回り、順調な決算だった」と述べた。スマートフォン(スマホ)の契約数が増え、増益率は最大のライバル、NTTドコモの3%を大きく上回った。

今期は様相が変わる。20年3月期の連結営業利益は8900億円の計画で6月に子会社化するヤフーが寄与する。ただヤフーの業績を反映した前期の決算と比較すると3%の増益にとどまる。

国内の通信業界では携帯料金の値下げや5G対応などの地殻変動が始まった。SBは8日、従来型携帯電話からスマホへの移行者を対象に1年間は月額980円で利用できる新プランを発表した。一方で「今の料金体系で十分に安い」と宮内社長は説明。今後のスマホの料金体系については「秋にならないとわからないが、微修正で対応できる」と明言を避けた。

しかし、政府主導の値下げは始まったばかりだ。4月に菅義偉官房長官は「本格的な料金引き下げ競争がスタートした」との認識を示した。今後、通信契約と端末代金のセット値引きを禁じる「完全分離」も控える。各社の料金改定の応酬を予想する声は多い。株式市場では、SBの今期について「端末分離や対抗値下げの影響を踏まえると、前期比で5000億円強の減収要因となる可能性がある」(モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎アナリスト)との見方もある。

20年春のサービス開始に向け、5Gのインフラ整備競争も始まった。新規参入する楽天モバイルを含めた通信4社は先月10日、5Gに必要な周波数の割り当てを受けた。SBは基地局整備などに2千億円超を投じる計画をまとめた。ただSBも5年間で5千億円規模の投資が必要とされ、収益を圧迫する要因になる。

これら新たな競争は「勝者」がみえないだけに、既存の通信事業への懸念が強まっている。特にSBは通信事業への依存度が高い。各社の売上高に占める通信事業の比率(概算)ではドコモの8割、KDDIの7割に比べてSBは9割を占めるとみられる。SBは通信依存からの脱却が待ったなしの状況だった。

その課題に対する答えの一つがヤフーの子会社化だ。多くのサービス利用者を抱えるヤフーと連携するほか、親会社SBGが出資する海外の有力ベンチャーの技術を生かした「非通信」事業の育成を急ぐ。8日、SBとヤフーが共同出資するスマホ決済のペイペイ(東京・千代田)にSBGも出資すると発表した。

ただ市場は既存の通信事業の先行きに警鐘を鳴らす。ソフトバンク株の8日終値は1311円と上場時の売り出し価格(1500円)を13%下回る。昨年末比では3%安で日経平均株価(8%高)を下回る。一段の投資家離れが懸念されるなか、SBは今期の1株当たり配当を85円にすると発表。配当利回りは6%台になる計算だ。

一方で今期の配当総額のうち、約2700億円は親会社のSBGが吸い上げる。これまでグループの投資の原資をひねり出してきた国内通信事業の収益が今後伸び悩めば、「投資会社」の看板を掲げるSBGの戦略にも影響しかねない。ヤフーの子会社化でSBの利益は増えるが、グループ間での移動にすぎないとの見方もある。新たな成長戦略が軌道に乗る姿を早期に示す必要がある。(堀田隆文、井川遼)

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