2019年6月25日(火)

会津若松、IT企業が続々 社会的な実証実験が魅力

ネット・IT
北海道・東北
2019/5/8 20:00
保存
共有
印刷
その他

福島県会津若松市に進出を決めるIT(情報技術)関連企業が相次いでいる。4月に開業した開発拠点には国内外の17社400人が進出を決めた。その背景にはスマートシティ構想を掲げる市が、地域をあげてシステムづくりに不可欠な社会的な実証実験の場を提供したことがある。

アイクトに開設されたアクセンチュアのオフィス(4月22日、福島県会津若松市)

4月22日に開かれた企業の集積拠点「スマートシティAiCT(アイクト)」の開所式。会津若松市の室井照平市長は「首都圏から地方への新しい人の流れをつくることができた」と企業誘致の手応えを語った。

構想を当初からけん引したコンサルティング大手のアクセンチュアのほか、日本マイクロソフト、シマンテック、フィリップス・ジャパン、NEC、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱商事など知識集約型の大企業が目立つ。

市内ではマンションの建設が相次ぎ、長年減少が続いた人口も足元では増加に転じた可能性が高いという。

進出企業の主な狙いは同市内で進められるスマートシティの実証実験に参画することだ。

2000年代以降国内では業種を問わずITの活用が急拡大した。取り残された巨大な市場が自治体をはじめとする行政や医療、エネルギーなどの公共部門だ。

市民の健康づくりを通して医療費を抑制するシステムをつくれば、市民の健康にプラスになると同時に健康保険や財政の負担が減る。

そのためには社会的な実証実験が不可欠だ。しかし行政や医療機関の協力がなかなか得られず、「のどから手が出るほど欲しい実証データが手に入らない」(システム会社)状態が続いていた。

大都市は利害関係が複雑で実証実験は難しい。中小の都市は未知の事業に取り組む動機づけが乏しかった。その中で実証実験への協力に活路を求めたのが、11年の東日本大震災で打撃を受けた会津若松市だった。

基幹産業の観光と農林業が震災に伴う原発事故の後、しばらくは先行きが見通せないほど落ち込んだ。市や地元経済界は経済を再建するため、アクセンチュアや国などが持ちかけたIT化の構想に乗ることにした。

現在はエネルギー、モビリティー(乗り物)、教育など8つの分野で数十件の実験や本格利用が進む。一部では他の都市に提供されるシステムも出始めた。

アクセンチュア日本法人の江川昌史社長は「スマートシティの主役は市民。各個人がメリットを感じ自発的に参加できることが大切」と強調する。

情報の不適切な利用があれば住民の参加機運がしぼみかねないだけに、各社は細心の配慮が求められる。またライバルの都市も増えている。関係者は知恵を絞り成果を生み続けることが必要になりそうだ。

(郡山支局長 村田和彦)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報