2019年6月20日(木)

ポンペオ米国務長官「イランの行動注視」 追加制裁を用意か

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2019/5/8 19:23
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【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は8日、訪問先のロンドンでハント英外相と共同記者会見を開き、イランが核合意履行を一部停止すると発表したことについて「イランが実際にどのように行動するか注視する必要がある」と指摘した。ロイター通信によると、ホワイトハウスのモリソン米大統領特別補佐官は同日、米国がイランに追加制裁を発動する可能性を示唆した。

8日、ロンドンで記者会見するポンペオ米国務長官=ロイター

ポンペオ氏は会見で「イランの説明は意図的に曖昧なものになっている」と指摘した。「我々は連携しイランの脅威を撃退する新たな方法を探る」と述べ、同盟国と共に対処する考えも示した。

一方、モリソン氏は8日、核合意の義務履行を一部停止すると発表したイランに対し「すぐに追加の制裁が科されるだろう。目前だ」と語った。

米国はイラン包囲網を狭めている。ポンペオ氏は7日、イラクを予告なしに訪れた。イラク駐留の米軍などに対するイランの攻撃が差し迫っていると判断した。イラクには5000人規模の米兵が駐留する。ポンペオ氏はイランの計画をアブドルマハディ首相に直接説明し「米国民を守るとの確証を得た」と語った。

ドイツのメルケル首相との会談を直前で取りやめてまで実現した電撃訪問に危機感がにじむ。

ポンペオ氏はイラク訪問で国境を接して結びつきの強い同国とイランとの分断を狙った。米国は、イラクが国内で過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を理由に協力するイラン傘下の民兵組織に懸念を強めてきた。2018年9月にイラクの米大使館周辺に迫撃砲弾を撃ち込んだのはこの組織だと米国はみる。

今回の米国への攻撃計画も同組織が関与した可能性がある。

ポンペオ氏は、アブドルマハディ氏との会談でイランを念頭に「イラクに介入する国が他国を攻撃してはならないとの認識で完全に一致した」と説明した。イラクに民兵組織との協力を停止し、イランに帰還させるよう迫ったとみられる。

経済支援を巡っては、ポンペオ氏がインフラ整備やエネルギー開発で協力を強化する考えを伝えた。イラクは発電に使う天然ガスの多くをイランから輸入している。イラクがイランとの関係を断てない大きな理由の一つだ。米国はイラクがエネルギー依存を下げればイランの外貨収入源を封じる「最大の圧力」戦略を加速できるとみる。

米国はイランとの不測の事態に備える。米メディアによると、核兵器を搭載できる4機の戦略爆撃機B52を中東に派遣し、そのうち2機が8日中にカタールの空軍基地に配備される。地中海に展開する空母エーブラハム・リンカーンのほか、ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦、原子力潜水艦などで編成する「空母打撃群」もペルシャ湾付近に派遣させる見通しだ。

イラン政策を指揮するのはタカ派のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)だ。元側近は「ボルトン氏はイランの影響力を抑えるには軍事攻撃を伴う体制転換しかないと考えている」と解説する。トランプ米大統領は海外での軍事行動に慎重な立場だが、偶発的な衝突のリスクはある。

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