2019年5月23日(木)

米、対中関税引き上げ 7日は正式通知せず

トランプ政権
米中衝突
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2019/5/8 7:11 (2019/5/8 10:05更新)
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【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)は7日、2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税の引き上げを正式に通知しなかった。ライトハイザー代表は6日、官報で7日にも出すと表明していた。現在の10%から25%へ10日に引き上げる行政手続きを終えれば、9日からの閣僚協議を前に中国への強い圧力となるだけに通知の有無は大きな焦点だ。

ライトハイザーUSTR代表(左)と中国の劉鶴副首相は9日からワシントンで貿易協議を開く予定=ロイター

米税関・国境取締局(CBP)が徴収する追加関税を、10日午前0時1分以降に10%から25%に変えると官報に明記するとみられる。トランプ大統領が5日にツイッターで表明したが、政府が実行に移すには事前に公告を出す必要がある。

対象となるのは中国の知的財産侵害を理由に2018年9月に「第3弾」として発動した2千億ドル分への制裁関税。家電や家具、かばん、帽子、食料品など生活に身近な消費財を多く含み、値上がりなど経済への影響が広がることになる。

第3弾の関税引き上げは過去に米国が19年1月1日、3月2日と設定したが、いずれも貿易協議を続けるとの理由で延期してきた。今回通知を出したとしても5月10日に入る前に修正し、関税拡大を先送りすることも実務的には可能だ。

今後の行方を左右するのは、9~10日にワシントンで開く閣僚級の貿易協議だ。中国の劉鶴副首相が訪米する。米側の責任者を務めるライトハイザー氏は6日「中国が約束を破っている。トランプ氏は大幅な構造改革を求めている」と指摘し、交渉決裂も辞さない強硬姿勢をあらわにした。

一方、ムニューシン財務長官は「中国が態度を変えればトランプ氏に報告する」と含みを持たせている。米国が納得する譲歩案を中国が示せば、関税引き上げを延期する可能性がある。

対立点として浮上しているのが中国の産業補助金の扱いだ。中国政府はハイテク産業を育成するため国有企業を支援しているが、米国は地方政府が担う分も含めて撤廃を求めている。中国に合意事項を守らせるため、米国は発動済みの制裁関税の一部をそのまま残したい考えだが、中国は即時全廃を求めて話し合いが平行線をたどっている。

交渉が決裂すれば中国からの輸入品(18年は約5400億ドル)の半分に25%の関税をかけることになる。米政権は既に18年7~8月、産業用ロボットや電子部品など計500億ドル分に25%の関税を上乗せした。これまでと同様、中国も報復関税の引き上げなどの対抗措置に動く公算が大きい。

トランプ氏は5日、残りの輸入品すべてに関税を課す「第4弾」も速やかに実行に移す方針を示した。USTRは近く第4弾も正式な通知を出す方針だ。産業界などから意見を聞く必要があるため、従来は通知から発動まで最低2カ月かかっていた。

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